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首相選出に2度も失敗 混迷増すタイ政治

Japan In-depth / 2023年7月23日 11時0分

こうしたプラユット首相だが、先の総選挙では自ら立ち上げた親軍政党が惨敗し「今後は政界を引退する」と表明するに至った。しかし新首相が決まるまでは暫定首相としての地位にとどまっており親軍派、保守派の支持を背景にビター党首の新首相選出に関しても水面下であれこれと動いているとの見方が有力だ。





★プラユット支持派が国王忖度か





プラユット首相はワチラロンコン国王とも良好な関係を維持しているという。タイでは国王や王室に関する批判や論評は最大のタブーとされ、最高15年の禁固が刑法112条の不敬罪として国王や王室一族を守っている。





2016年に死去したプミポン前国王は若い頃からタイ全土をカメラと地図を手にくまなく視察し、平伏する国民にしゃがんだ姿勢をとり同じ目線で親しく語り掛けるなど国民の尊敬と信頼を一身に受けた国王だった。





後継のワチラロンコンは長らく海外に滞在し、離婚経験者で愛犬に軍の階級を与えたり、、誕生パーティに半裸の女性を侍らしたり、上半身に刺青があるなどの「奇行」が海外で度々報じられるなど、風変りな存在だった。





もちろんタイ国内では不敬罪に抵触することからそうした報道が流れることはなかったが、インターネットを通じて若者や学生は実態を把握、それが反王室運動に発展したことも事実だ。





そのワチラロンコン国王が内心ではビター党首の「前進党」が公約で掲げた王室改革を憂慮している可能性があるとして親軍派、保守派のプラユット支持議員が国王の気持ちを「忖度」してビター党首の首相選出阻止に回っているといわれているのだ。もちろん真相は王室のカーテン向こう側で不明である。





タイの政治は27日の首相選出に向けて野党連合、親軍派、保守派がそれぞれの思惑で動いており予断を許さない情勢となっている。





バンコク市内の国会議事堂前にはこうした国会の動きを反映して前進党支持者や民主化を求める若者、学生らによるデモが連日繰り広げられており、治安部隊はこれまでのところ強権的な手段を講じていないが騒然とした雰囲気に包まれている。





トップ写真:首相選出での一連の政党間の駆け引きに抗議するタマサート・デモ統一戦線ら、デモ隊(2023年7月19日、タイ・バンコク)出典:Photo by Mailee Osten-Tan/Getty Images




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