米中新冷戦とはー中国軍事研究の大御所が語る その6(最終回)日本の「悪魔化」とは
Japan In-depth / 2023年7月26日 23時0分
いずれも事実ではないことは明白ですが、なにも知らない他の諸国の人たちが聞けば、信じるかもしれない宣伝です。こんな日本非難が中国共産党指導層内部で堂々と繰り返されているのです。
その発信役はおもに『白鷹』と呼ばれる党や軍の強硬派ですが、そのメッセージ自体は共産党全体の発信だと解釈してよい。日本側はこの種の有害なプロパガンダを取り上げて、正面から論争を挑み、正すべきでしょう」
――しかし日本側でも最近は中国の言動を危険とみなし、その抑止のために防衛費を増して、日本独自の反撃能力を含めて防衛力を高める、とか、日米同盟をより堅固にするという動きが活発となりました。
「きわめて健全な動きですね。中国の脅威を客観的に認識して、その軍事チャレンジを抑えるための防衛力、抑止力をこれまでとは異なる次元にまで高めることはいまの日本には欠かせない対策でしょう。
この面で私自身の考察として貴重な貢献があったと思えるのは安倍晋三政権で国家安全保障局長を務めた北村滋氏、さらには同局次長の兼原信克氏です。日本にとっての中国の危険性を理解して、そのための適切な防衛措置をとることを推進した人たちだと思います。
また私の旧知だった産経新聞社社長の故・住田良能氏もワシントン特派員時代から記者として、さらに編集局長などメディア経営者として、中国の実態をより多くの日本国民に知らせることへの大きな寄与があったと思います。この機会にこれらの方々への敬意を表したいと思います」
(終わり。その1、その2、その3、その4、その5。全6回)
**この連載は月刊雑誌「正論」8月号掲載のインタビュー記事「米国の過ちは抗議だけで対中政策を変えなかったこと」の転載です。
トップ写真:韓国と米国は同盟70周年を記念して合同実弾演習を実施(2023年5月25日 韓国・抱川、スンジン消防訓練センター)出典:Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images
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