コロンビア左派政権、発足1周年直前で大ピンチ
Japan In-depth / 2023年7月30日 11時0分
現地の有力世論調査機関が今月初め公表したところによれば、ペトロ大統領の支持率は3月以降急落し現在は33%、不支持率は61%に達している。「ペトロ大統領は就任1周年を間近に控え早くもその前途に赤信号が灯った」(コロンビアの有力メディア)感がある。
■ベネズエラ急接近に懸念の声
コロンビアに関し中南米専門家の多くが気にするのは、内政問題だけでなく外交政策の転換の可能性である。コロンビアが近年、親米政権の下で米国と良好な関係を続けてきたのは周知の事実。ところが、ペトロ大統領の登場によって対米関係の緊張が米国を中心に取りざたされるようになっている。
ただ、現在までのところ、米・コロンビア関係が大きく変わる事態にはなっていない。これについては「バイデン政権がコロンビアが反米外交に転換するのを警戒し、ペトロ政権の引き留めに全力を挙げている」(コロンビア有力紙)との見方が有力。事実、昨年10月ブリンケン国務長官が首都ボゴタを訪問して以後、ヌーランド国務次官、マヨルカス国土安全保障長官らが相次いでコロンビア入り。最近ではリチャードソン米南方軍司令官も訪問している。4月にはバイデン大統領の招待でペトロ大統領がワシントンを訪れ、2国間問題を話し合った。
とはいえ、米国の懸念が払しょくされたわけではない。ぺトロ政権が反米左派のベネズエラのマドゥロ政権との関係緊密化を急いでいるからだ。ペトロ大統領は昨年8月の就任直後、マドゥロ・ベネズエラ大統領とともに両国の外交関係の再開を表明した。コロンビアでは親米右派のドゥケ前政権がマドゥロ大統領ではなく、親米派のグアイド氏を正式のベネズエラ大統領として承認したことから2019年2月以降、両国国交が断絶状態となっていた。
国交回復後、ペトロ大統領はベネズエラに急接近、昨年11月カラカスを訪問して以来、すでに3回マドゥロ大統領との首脳会談を行っている。「これ以上、ペトロ政権がベネズエラのマドゥロ政権と親密になるなら、米国も黙っていないはず」(メキシコ有力紙)との声が上がるのも当然だろう。
(了)
トップ写真:米国務長官のコロンビア訪問の一環としての会談後の共同記者会見で写真を撮るブリンケン米国務長官とコロンビアのペトロ大統領(2022年10月3日、コロンビア・ボゴタ)出典:Photo by Guillermo Legaria/Getty Images
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