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北京による民間企業への唐突なアピール

Japan In-depth / 2023年7月31日 11時29分

また、蔡慎坤は国有企業が民衆に与える最大の害悪は、市場を独占し略奪・蓄財することであり、その代価を払うのは国民一人ひとりだと分析する。


早速、テンセントの馬化騰が、習政権の「31ヶ条」支持を表明(c)した。もし、馬化騰がこの方針を支持しなければ、北京から嫌がらせを受けると考えたのではないだろうか。


ところで、中国経済は、習主席の「個人的嗜好」で、衰退の一途を辿っている観がある。


第1に、コロナ流行中、習主席はお気に入りの「ゼロコロナ政策」を実行したが、その効果には大きな疑問符が付いた。


周知の如く、中国では、異様なまでの厳格なPCR検査とロックダウンが行われている。特に、大都市の北京市、上海市、広東省等では規制が厳しかった。そのため、人とモノの自由な移動が制限されたので、経済が回らなくなっている。


一方、地方政府はPCR検査とロックダウン実施のコストで大きな負債を抱えた。結局、昨年12月上旬、李強らが習主席を押し切って「ゼロコロナ政策」をやめている。


第2に、習主席は国有企業を優先し、民間企業には冷徹に接した。


北京はアリババをはじめとする新興のIT産業に対し、冷酷な態度を取っている。同産業からは「共同富裕」という名で寄付を強要した。他方、ゲーム業界や教育産業界へも干渉し、その発展を阻害している。


したがって、今回、習政権が突如「31条」で、様々な形での民間企業支援を謳っても、どれほどの経済人がそれに納得し、発奮するだろうか。


第3に、李克強が首相時代に「屋台経済」を提唱したが、習主席に封じられた。李強首相が前首相の政策を真似て「屋台経済」を実践しようとしたが、やはり主席に阻止されている。


第4に、習主席肝煎りの「戦狼外交」は、米欧との関係を悪化させた。そのため、中国はモノの生産に必要なチップでさえ入手が困難になっている。


また、「(改正)反スパイ法」で、外国人に対し、更に締め付けを厳しくした。これでは、外資がますます逃げて行く。これも、中国経済を衰弱させる要因ではないだろうか。


〔注〕


(a)『中国瞭望』


「本当に緊急だ... 十数通のメッセージが連続して出され、中国は重大な方向性を示唆する」


(2023年7月19日付)


(https://news.creaders.net/china/2023/07/19/2628304.html)。


(b)『中国瞭望』


「中南海は民間経済を鼓舞するために11文書を連続発信したが、信頼を回復できるのか?」


(2023年7月19日付)


(https://news.creaders.net/china/2023/07/19/2628603.html)。


(c)『中国瞭望』


「中国が民間企業振興のために『31ヶ条』を推進 馬化騰は急いで支持を表明」


(2023年7月20日付)


(https://news.creaders.net/china/2023/07/20/2628759.html)。


トップ写真:貴陽国際エコカンファレンスセンターで開催された中国国際ビッグデータ産業博覧会2018の「新しいデジタルエコシステムの探索」セッションでテンセント・ホールディングス会長兼最高経営責任者のポニー・マー・ファテン氏が講演(2018年5月28日、中国貴州省貴陽市)


出典:Photo by VCG/VCG via Getty Images


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