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「セメント王」浅野総一郎物語⑩ 妻サクとともにセメント工場で汗

Japan In-depth / 2023年7月31日 23時0分

いわば社長の奥さんが下駄を洗い、鼻緒を直したのです。「奥さんの目線は低い」という評判となり、サクのファンが増えました。





サクは工場内に毎日出入りしました。手拭いを頭にかぶり、歩いたのです。回転釜の熱も、電動機やスクリューの轟音も、気にしない。セメントにうずもれた工場内で、梯子で2階や3階にも平気で上ったのです。





総一郎、そしてサクは現場に出て、職工と同じ空気を吸いました。それは、現場主義、率先垂範の姿勢に映り、組織が一致団結し、前向きに進む原動力となったのです。セメント工場では、粉塵が飛び交っていました。空気は悪い。早朝から工場に入って陣頭指揮を執る総一郎はある日、喉を痛め、吐血しました。





それにしても、モーレツな仕事師ですね。その一直線な生き方が、渋沢栄一含めて多くの同時代の人々を引き付けたのです。





(その⑪に続く。①、②、③、④、⑤、⑥、⑦、⑧、⑨)





トップ写真:浅野総一郎の像(神奈川県横浜市、浅野学園にて)ⒸJapan In-depth編集部




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