サンフランシスコの富はシリコンバレーへ
Japan In-depth / 2023年8月2日 7時0分
今回逗留した古いホテルの壁には、「サマー・オブ・ラブ」のポスターを含む多くの資料が所狭しと飾られていた。近所には当時ジャニス・ジョプリンが住んでいた家屋が今も残っている。そこにはグレイトフル・デッドやジェファーソン・エアプレインなどのバンドメンバーが入り浸っていたそうだ。
当時同世代人だった筆者には懐かしい名前ばかりだが、あれから半世紀、今サンフランシスコはまるで変わってしまった。まず、(昔からほとんどの芸術家はそうだったが)貧乏な芸術家はサンフランシスコに住めなくなったという。シリコンバレーのIT革命で家賃・物価が高騰したためだ。新しく引っ越してきた若者たちは50年前のヒッピー文化などに全く興味はないそうだ。
彼らは自分たちの創造的能力を試し、人生に勝利することに関心はあっても、昔のサンフランシスコが果たした文化的役割にはあまり関心を払わない。今もサンフランシスコ市内に住む筆者の古い友人たちはそう言って昔を懐かしんでいた。そう、もう我々の知るサンフランシスコはなくなってしまったのだろう。
今回最も驚いたのはサンフランシスコの目抜き通りマーケット・ストリートが「シャッター通り」になりつつあることだった。サンフランシスコの富の大半は、市内にはなく、郊外のシリコンバレーなどに移りつつあるのか。今回某巨大IT企業を見学したが、その広大な敷地と世界中から集まる研究者、職員の多様さに唯々圧倒された。
詳細は今週のJapan Timesに書くつもりなので、お時間があればご一読願いたい。結論はただ一つ、昔筆者があれほど憧れたサンフランシスコはもう存在しない、同時に、筆者の自由で革命的(だと思っていた)アメリカ文化への憧憬も消えつつある、ということだ。これまで薄々感じていたことだが、今回はその思いが深まった。
この「アメリカかぶれが、何を今更!」と叱られそうだが、これから50年後、サンフランシスコは、そしてアメリカは、再び世界の文化の中心に復帰できるのか、大いに気になった。今週も米国出張を続けるので今回はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:サンフランシスコ市内を走るケーブルカー 出典:Mireya Acierto/GettyImages
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
監視社会の闇で深まる悲劇:中国で相次ぐ無差別殺傷事件
Japan In-depth / 2024年11月20日 23時0分
-
独首相がプーチン氏と2年ぶり電話会談 ウクライナは反発、対話は「ロシアの望み通り」
産経ニュース / 2024年11月16日 8時56分
-
「予測不能な男の再登板」ウクライナ・ガザ・中台・朝鮮半島・・・世界の安全保障の気になる行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月13日 14時16分
-
米大統領選、「例外主義」の終わりの始まり
Japan In-depth / 2024年11月13日 11時0分
-
米大統領選、選挙結果は今週中には確定しない
Japan In-depth / 2024年11月5日 22時0分
ランキング
-
1強盗致傷事件被害品のクレカを受け取った疑いで21歳大学生を追送検…SNSで闇バイトに応募
読売新聞 / 2024年11月24日 16時51分
-
2県議会自主解散など要求=維新、兵庫知事選を総括―吉村共同代表
時事通信 / 2024年11月24日 15時35分
-
3三笠宮妃百合子さまの通夜営まれる 秋篠宮ご夫妻ら参列
毎日新聞 / 2024年11月24日 19時32分
-
4ビシネスホテル“強盗” 自称会社員の少年を逮捕 群馬・高崎市
日テレNEWS NNN / 2024年11月24日 13時15分
-
5実家は売春宿、ホステスを殺して15年逃亡…「松山ホステス殺害事件」福田和子の壮絶人生(1982年の事件)
文春オンライン / 2024年11月24日 17時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください