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マニラ湾埋め立て事業の中国企業 ブラックリスト企業と米が懸念

Japan In-depth / 2023年8月12日 17時0分

★前政権がブラックリスト中国企業を無視





中国は南シナ海で国際法を無視する形で一方的に島嶼や環礁に人工建築物や滑走路を建設して軍事基地化、自国の海洋権益が及ぶ範囲「九段線」の範囲であるとの主張を繰り返している。





このため南シナ海ではフィリピンの他にベトナム、マレーシア、ブルネイなどと中国との間で領有権争いが現在も続いている。





そうした事態に対してドゥテルテ前大統領の政権は「紛争海域の人工島などの建設に関与した中国企業をブラックリストに登録するという米政府の決定には従わない」との姿勢を示し、米からの警告や懸念を無視する方針を打ち出していた。その上でマニラ湾埋め立てプロジェクトの基本構想がドゥテルテ政権で進められたのだった。









▲写真 米国に対し批判的姿勢だったドゥテルテ前大統領(2017年)出典:Photo by Jeoffrey Maitem/Getty Images





こうした前政権の姿勢が根底にあることがマニラ湾埋め立てプロジェクトに問題のある中国企業が関与するという今回の事態の背景になった可能性が大きいとみられている。





加えて世界銀行やアジア開発銀行などの国際的金融機関もこの中国企業に対して「詐欺的な商慣行に従事している」との異例の指摘もあり、単に環境や安全保障の面からだけでなく企業として一般の商慣行を逸脱する方法での契約や取引に警戒、注意する必要が発せられているのだ。





★影響を再評価する方針表明





米政府はマニラの大使館を通じてフィリピン政府の関係機関と密接に連絡、情報交換しながら注視していることを強調しており、フィリピン政府も現状把握に努めていることを明らかにしている。





フィリピンのマリア・アントニア・ロイザガ環境相は8月2日、このマニラ湾埋め立てプロジェクトに対して「他の当事者からも懸念の声が上がっている」としたうえで「新たなメンバーによる委員会を設置してプロジェクトの累積的な影響評価を実施する」との方針を明らかにし、プロジェクト全体を特別チームで精査し総合的に評価し直すという政府の姿勢を表明した。





ドゥテルテ前大統領の後任、マルコス大統領はそれまでの中国への過度の依存という姿勢を見直し、経済面ではある程度協力しながらも特に安全保障の面では「脱中国」を掲げて米政府との密接な関係構築を続けている。





このため今回の指摘が米大使館を通じた米政府からの懸念を反映したものだけに、契約見直しを含めた断固とした対応が求められているといえる。





トップ写真:在フィリピン米国大使館が沿線に所在するマニラのロハス大通りから眺めたマニラ湾 出典:Eddie Gerald / Getty Images




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