注目のグアテマラとエクアドル大統領選 中南米動向占うカギに
Japan In-depth / 2023年8月13日 17時0分
ゴンサレス候補が当選すれば同国史上初の女性大統領となる。同国では麻薬取引などに絡む犯罪組織同士の抗争が頻発、治安が極度に悪化しており、9日には大統領候補の一人フェルナンド・ビジャビセンシオ氏が暗殺される事件も起きた。大統領選が無事に行われるか不安視する向きもある。
写真)フェルナンド・ビジャビセンシオ氏が暗殺され、お通夜に集まる支持者ら 2023年8月11日、エクアドル キト
出典)Photo by Franklin Jacome/Agencia Press South/Getty Images
◇中南米の政治潮流占うカギ
グアテマラとエクアドルの大統領選の行方は今後の中南米の政治潮流を占う上で重要なカギとなる。ペルーでは2021年に就任した左派のカスティジョ大統領が昨年12月、国会の弾劾で失脚。お隣のチリでは昨年3月発足したボリッチ左派政権は同9月急進的新憲法草案が国民投票で否決された後、税制改革案を議会で通すことに失敗した上、先住民問題など社会政策でも壁に直面、苦境に立たたされている。
さらに昨年8月スタートしたコロンビアのペトロ左派政権も多くの社会改革がとん挫する中、大統領の長男がマネーロンダリング(資金洗浄)と不正蓄財の容疑で逮捕され、発足以来最大のピンチに直面している。これら左派政権の崩壊や挫折は過去数年顕著だった中南米地域での左翼化の潮流に「待った」をかける形となっている。
こうした中、グアテマラとエクアドルで左派政権が成立すれば、同地域で再び左翼勢力が勢いずくことが予想される。とりわけエクアドルで左派のゴンサレス候補が当選した場合のインパクトは大きいだろう。同候補は2007年から10年間エクアドル大統領を務めた南米有数の左翼リーダーだったコレア氏の信奉者。コレア氏はベルギーに居住しているが、その政治的影響力は依然として無視できない。同氏は主に2000年代後半から当時のチャベス・ベネズエラ大統領やモラレス・ボリビア大統領と共に中南米の"ピンクタイド”(共産主義化まではいかない左傾化の流れ)を推進、米国との厳しい対立を招いた。ゴンサレス候補は新政権を担う場合、そのコレア氏を最高顧問として指導を仰ぐと公言している。
(了)
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