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インドネシア大統領選、年齢制限見直しの動き 背景に政治的思惑

Japan In-depth / 2023年8月19日 7時0分

 ギブラン市長はジョコ・ウィドド大統領の後ろ盾である最大与党「闘争民主党(PDIP)」所属で党首のメガワティ・スカルノプトリ元大統領の覚えもめでたい将来有望な政治家とみなされている。


 ジョコ・ウィドド大統領は自身がソロ市長からジャカルタ特別州知事を経て大統領に就任した経歴があり、同じソロ市長の職にあるギブラン市長に大きな期待を寄せているのは間違いない。


 表向きは「年齢制限引き下げは憲法裁が判断することである」と冷静を装っているジョコ・ウィドド大統領だが、大統領とメガワティPDIP党首という「二大権力」への各政党や政治家の忖度が働いているとされている。


 


★有力な大統領候補の副大統領候補人選


 現在有力な大統領候補と目されているのはプラボウォ・スビアント国防相、ガンジャル・プラノウォ中部ジャワ州知事、アニス・バスウェダン前ジャカルタ特別州知事の3人である。


 これまで各種世論調査常にトップを走って来たガンジャル州知事だが、最近はプラボウォ国防相に先を越され2番手に甘んじることが増えてきている。


 背景に1998年に崩壊したスハルト大統領の長期独裁政権で陸軍の特殊部隊司令官、戦略予備軍司令官と軍の要職を歴任し、スハルト大統領の女婿(現在は離婚)だったという「家柄のよい強い指導者」への国民の回帰願望やガンジャル知事を後押しするPDIPの独善性への反発などがあると分析されている。


 政党の枠組みを考えるとギブラン市長はガンジャル州知事の副大統領候補としてPDIP同士でペアを組むのが順当だが、ギブラン市長の実父であるジョコ・ウィドド大統領の高い人気と支持を取り込んで支持基盤拡大を目論むプラボウォ国防相がギブラン市長を擁立する可能性も取り沙汰されるようになり、正副大統領のペアリングは複雑な様相を呈する状況になっているのだ。


 


★大統領の「裏切り」を指摘する声も


 ここへ来てジョコ・ウィドド大統領がプラボウォ国防相に急接近しているとの情報が飛び交っている。


PDIの要職にある訳でもないジョコ・ウィドド大統領に対してあれやこれやと注文を付けて「支配」しようとするメガワティ党首に内心反発や苛立ちを抱いていたとされるジョコ・ウィドド大統領。


彼が引退後に影響力を残し、かつ長男を副大統領として送り込むことに前向きになり、人口が集中しているジャワ島での知名度がある


ガンジャル知事よりも全国的な知名度を誇り、前回の大統領選(2019年)でジョコ・ウィドド大統領に惜敗した「実績」があるプラボウォ国防相に肩入れすることの損得勘定が「裏切り」に作用しているとの見方が有力だ。


 大統領選の年齢制限引き下げという降って沸いたような「変化球」に対して民主活動家などから反対の声が出ているものの、大きな流れに変化はなく、憲法裁がどのような判断を下すかに国民の注目が集まっている。 


トップ写真:豪州を訪問したジョコ大統領 アンソニー・アルバニーズ首相と。 2023年7月4日、オーストラリア・シドニー タロンガ動物園


出典:Photo by Robert Wallace - Pool/Getty Images


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