比司法長官が南シナ海問題で中国に警告 国際法遵守できないなら国連脱退せよ
Japan In-depth / 2023年9月8日 16時46分
フィリピンと中国は共に1982年採択、1992年発効の国連海洋法条約の署名国であることを踏まえて「国連加盟国として国際法を尊重するべきである」との基本的姿勢を強調、中国に法を守ることを求めたのだった。
この発言に対する中国側の公式反応はこれまでのところないものの、強く反発することが予想されている。
★仲裁裁判所の判断無視する中国
中国の国際法無視は常套手段で自らに不利あるいは都合の悪い法や判断はあれこれと難癖をつけて遵守しないのは珍しいことではない。
2014年に当時のベニグノ・アキノ大統領が南シナ海に中国が一方的に設定した「九段線」の主張が不当だとしてオランダ・ハーグの「常設仲裁裁判所(PCA)」に訴えを起こした。PCAは審理の末2016年に「九段線とその囲まれた海域に対する中国が主張してきた歴史的権利は国際法上の法的根拠がなく、国際法に違反する」との判断を下した。
しかし中国は「判断の背後に政治的影響がある」などと言いがかりをつけてPCGの判断を一切無視する姿勢を現在まで取り続けている。こうした中国の一方的で頑なな姿勢が今回レムラ司法相による国際海洋法を守らないことへの指摘になっているのだ。
フィリピンは南シナ海での中国の国際法無視の行動に対して外交的抗議をこれまでに400回以上行っている。しかし中国側は無視あるいは反論して耳を傾ける姿勢を一切示していない。
★新たな地図も反発招く
さらに8月28日に中国が発表した「2023年標準国土地図」が周辺国の猛反発を招いている。
地図では中国の領海、領土、主権が及ぶ範囲として南シナ海の大半が含まれ、これまで9本の破線で囲った「九段線」に1本加えて台湾を自国領土する「十段線」に拡張している。
自国の領土、EEZが中国の権益が及ぶ範囲として示されたフィリピン、マレーシア、ベトナム、インドネシア、台湾が猛烈に反発、受け入れを拒否する事態となっている。加えて領有権争いが残るインドと中国の国境地帯も中国領と記されたことにインドも抗議しているのだ。
5日からインドネシアで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議、そしてその後続くインドでのG20会議に中国の習近平主席は欠席を決めたがASEANメンバーやインドからの反発を回避する狙いもあったのではないかとも言われている。
トップ写真:外務省での記者会見中に、中国海警局の船がフィリピンの補給船に対して放水銃を使用する映像が放映された(2023年8月7日 フィリピン・マニラ)出典:Photo by Ezra Acayan/Getty Images
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