北朝鮮とロシアの軍事協力の不吉な意味
Japan In-depth / 2023年9月8日 23時31分
古森義久(ジャーナリスト/麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・米、ロシアと北朝鮮の接近が国際情勢をより危険にすると強調。
・北朝鮮がロシアに武器を提供した場合は「国際社会で代償を支払うことになる」と米、警告
・拉致事件に関しても、日本からの経済援助の期待からの事件解決への意欲を減らす。
アメリカ政府はロシアと北朝鮮の接近が国際情勢をより危険にするという展望を強調するようになった。ロシアと北朝鮮が軍事面でも協力を強めると、北朝鮮は米側からの年来の核兵器廃絶の要求を軽視するようになり、金正恩朝鮮労働党総書記は対外関係でのロシアや中国との絆の強化で、日本人拉致事件の解決への意思もさらに減らすという可能性さえも指摘される。
バイデン政権の国家安全保障担当の大統領補佐官ジェイク・サリバン氏は9月5日、北朝鮮の金正恩総書記がロシアを訪問してプーチン大統領と兵器取引の交渉にのぞむと報じられていることについて「金氏が直接に首脳レベルの話し合いを期待しているという情報がある」と述べた。サリバン補佐官はそのうえで北朝鮮がウクライナに侵攻するロシアに武器を提供した場合は「国際社会で代償を支払うことになる」と警告した。
この動きは実はニューヨーク・タイムズの報道が最初だった。金正恩・プーチン会談と北朝鮮・ロシアの接近の切迫した見通しをアメリカ政府情報機関からの情報のような形で報じたのだった。
金総書記は9月10日から13日までロシア極東のウラジオストクで開かれる東方経済フォーラムに出席し、その際にプーチン大統領との首脳会談を実施するという報道だった。サリバン補佐官がこの報道を確認する形となった。
北朝鮮はこれまでロシアへの兵器の売却を否定してきたが、アメリカ政府は昨年11月にこの両国間の兵器の売買を裏づけるような衛星写真を公表した。しかし今回のロシア・北朝鮮の首脳会談により、この種の兵器売却が公式になれば、アメリカや西欧各国の反発は激しくなる。
この北朝鮮とロシアの接近についてワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」のビクター・チャ朝鮮研究部長らは以下のような見解を9月6日、発表した。
・今回、明らかになった金正恩・プーチン首脳会談の可能性はここしばらく進んでいた北朝鮮とロシアとの軍事協力関係の証拠だといえる。この協力は通常兵器と食料・エネルギーの交換を越えて、偵察衛星、原子力潜水艦、弾道ミサイルなどの高度技術の領域に及ぶ気配もある。
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