人民に「我慢」を強要する習近平政権
Japan In-depth / 2023年9月11日 7時0分
習主席は人民に「忍耐強く」なるように促し、西側の成長モデルを避ける必要性を強調した。
他の党誌『学習時報』(8月16日付)も消費者への現金支給に反対するという内容の記事を掲載した。政府プログラムではなく家計を対象とした財政政策の要求に対抗しようとしている。しかし、8月、中国経済は更にどん底へ陥った(d)。中国本土では災害が続き、国民の不満が各地で噴出している。
けれども、習主席は公に姿を現すことも声明を発表することも拒否し、他の政治局常務委員も主席に追随した。そのため、8月の党幹部らの「統治能力」に大きな疑問符がついている。
ところで、8月29日、『人民日報』は第1面に「中国経済回復が『波状的発展・ジグザグ前進』をどう見るか」という長文を載せた(e)。
実は、「曲折」(=ジグザグ前進)というタームは中国共産党の“文化用語”で、実際には“失敗”の代名詞(d)である。
(1) 1934年、中国共産党は国民党に江西根拠地を陥落させられ、延安へ逃れた。のちに「長征」と呼ばれたが、革命事業の「曲折」とも呼ばれる。
(2)1950年代から60年代にかけて、同党の「大躍進」政策が失敗し、鉄鋼の大製錬等で飢饉が発生し、のちに「曲折」と呼ばれた。
(3)「文化大革命」は、中国経済を麻痺させ、社会を大きく後退させたが、やはり「曲折」と呼ばれている。
以上、すべての「曲折」は“失敗”ではなく「まわりくねったジグザグ前進」だと中国共産党は強弁している。
その後、中国経済は発展した。だが、同党は30年余ぶりに経済を「ジグザグ前進」と呼び始めている。
仮に、今年上半期の中国のGDP成長率が5.5%(f)という数字が本当なら、何の問題もない。中国共産党の両会(全国人民代表大会と政治協商会議)によって設定された目標を達成したからである。しかし、党メディアはそれを「曲折」と宣伝している。つまり、経済データ改竄を認めているに等しい(d)だろう。
〔注〕
(a)『中国瞭望』「習近平は気に入らないだろう!中国の著名な学者からの『必ず矢を射る』10提案」(2023年8月7日付)
(https://news.creaders.net/china/2023/08/07/2634652.html)
(b)『万維ビデオ』「内幕: 習近平はこの方法で経済を救う準備をしている」(2023年8月28日付)
(https://video.creaders.net/2023/08/28/2642188.html)
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