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政治家の情けないプレゼンテーションスキル

Japan In-depth / 2023年9月14日 11時0分

そうした例は枚挙に暇が無いが、「喫緊の課題として」とか「緊張感(スピード感)を持って」とか「あらゆる可能性を排除せず」とか「関係省庁(各国)と緊密に連携をとって」とかいうやつだ。そう思ってないでしょ、と相手に思わせるに十分な、心のこもってない表現だが、書いている霞ヶ関の人達はそんなことはおかまいなしなのだろう。


総理だけではなく、官房長官、大臣、あらゆる政府関係者がこうした表現を乱発するものだからどの答弁も同じに聞こえてくる。それがそもそもの目的なのかもしれないが、それで国民の心を打つことは出来ない。


まして総理大臣である。何のための会見か。今日の会見はこれからの政策課題と内閣改造・党役員人事の意図の説明の場だったが、平坦な話しぶりが延々と続き、全く頭に入ってこなかった。強調すべき所は強調し、抑揚をつけてくれないと、人間は何が大事なのかわからない。延々と同じ調子で話されては一体この人は何を伝えたいのか、と人は感じてしまうものなのだ。


さらに、岸田総理の話が国民の心を打たない理由は、その話し方に加え、国民の実感と乖離している内容をえんえんと話すからだ。


岸田総理は、政権発足からの2年間を振り返り「新しい時代の息吹が確実に生まれつつある」と述べ、「経済でも外交でも世界での日本の存在感を高められた」と評価したが、「新しい時代の息吹」や「世界での日本の存在感」を感じている人がどこにいるのだろう?


新内閣を「変化を力にする内閣」と表現したが、お年寄りばかりでとても変化とはほど遠い陣容にしか見えない。代わり映えしなく、現状維持がせいぜいのところだろう。


極めつけは、「我々の前に流れている変化の大河はまさに100年に1回ともいえる時代を画するものだ」と述べたことだ。「大河(たいが)」と耳で聞いたときはすぐには分からなかった。あまりにこの言葉を繰り返すのでまさか「大河」ではないだろうな、と思って後で他社の記事を見たら本当に「大河」だった。私だったら、こんな誰も使わないような大仰な言葉を総理の演説には選ばない。


国民が今感じている変化は、食料品の値上げであり、電気・ガス・ガソリンの高騰であり、税金や社会保障費の重さである。つまり生活が苦しくなっているという負の変化だ。生活費を切り詰め、遊興費を減らし、日々を暮らしている。「変化の大河」などという陳腐な言葉は、庶民の感情を逆なでこそすれ、共感を得られるものではない。


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