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政権末期の様相を帯びてきた中国共産党

Japan In-depth / 2023年9月25日 11時0分

ところで、話は変わるが、今年5月10日、習主席は2017年の「雄安新区」設立後、同地へ3度目の訪問を行った。前2回とは異なり、主席は李強総理ら最高幹部を従えている(c)。 


一見、何の変哲もなさそうな習主席の「雄安新区」訪問だが、この事実は見逃せない。


総書記に首相が同行して視察することは、中国共産党の建政史上類例がないとう。過去の慣例上、総書記と首相は必ず北京に滞在しなければならず、同時に外出することもなく、同じ場所へ一緒に行くこともできない(米国の大統領と副大統領の関係に近いと思われる)。


ナンバー1の総書記とナンバー2の首相である。もし、重大事件・事故があった場合、2人がいっぺんに亡くなると困るだろう。そのため、一緒には行動しないのである。


ところが、今回、何と習主席は李強首相を連れて「雄安新区」へ行った。つまり、李強首相は、昔同様、主席の第1書記であり、首相ではないのかもしれない。


9月13日から14日にかけて、北京で「全国党委員会・政府書記長会議」が開催(d)された。その際、習主席は「重要な指示」(「政治姿勢を高める」等)を行ったが、それを中央書記処第1書記の蔡奇(ナンバー5)が伝えたばかりか、スピーチも行っている。


会議の名称通り、党と政府が統合(鄧小平の「党政分離」と反対の「党政一致」)され、党中央が会議を実施した。


かつて、習主席の党中央と李克強内閣(国務院)とは幹部の指導権では互いに干渉せず、主席が党を、李克強首相が国政を掌握していた。


ところが、今回の党政幹部統合会議では、李強首相が脇役となり、政府秘書官らは現場で蔡奇の訓話を聞いていたのである。習主席が蔡奇を通じて、全国党書記と政府秘書長の管理を一本化し、変則的に李強から権力を奪おうとする動きは、外界を驚かせた。


そのため、最近、党の機構改革を経て、事実上、国務院は習主席個人の執行機関へと降格している。主席と李強は対等ではなく、まるで主従関係である。


一方、蔡奇は、3月に中央弁公庁主任、6月に国家安全会議副主席に就任し、李強を凌ぐ権力を増大させた。


以上のように、習主席は党の規則をことごとく無視しているので、党内は混乱状態に陥っている。


〔注〕


(a)『中国瞭望』


「中国人の忍耐にも限界がある」


(2023年9月18日付)


(https://news.creaders.net/china/2023/09/18/2649335.html)。


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