ジャニーズ事務所の問題が明らかにした「企業と人権」【日本経済をターンアラウンドする!】その15
Japan In-depth / 2023年9月30日 12時8分
さて、今回の事例は、商品宣伝において、人権侵害が行われていた企業と契約先していたことになり、法務省の「今企業に求められる「ビジネスと人権」への対応」「ビジネスと人権に関する調査研究」報告書によると以下の部分が該当する。
㉔サプライチェーン上の人権問題
企業のサプライチェーン上で人権侵害が発生すること
・指導原則では、自社内部で発生しうる人権に関するリスクのみならず、サプライチェーン(原料生産・調達から、製品・サービスが消費者の手に届き使用・廃棄されるまでの一連のプロセス)全体で発生しているリスクに対しても対応することが求められている
商品宣伝プロセスでの人権侵害、その意味で、対応せざるを得ないのだ。
■ サントリーの統合報告書を見れば、わかる!
それではサントリーの統合報告書を見てみよう。「2023サントリーグループ サステナビリティサイト」として、サントリーグループはサステナビリティについて報告を行っている。
▲写真 出典:「2023サントリーグループ サステナビリティサイト」より
そこでは、「人権方針」を明確に示し、人権デューデリについても、そのやり方などしっかりと記載している。
▲写真 出典:「2023サントリーグループ サステナビリティサイト」、p84
人権方針で「自らの事業活動に関わるすべての人の人権を侵害しないことに努め」と宣言している。この方針に従えば、「オールフリー」のCMにSixTONESの松村北斗さんを使用しているのにもかかわらず、新浪さんが明言したところは当然のことになります。
■ 企業はもう一度「人権」「人間の尊厳」を再考しよう
今回の問題は、巨大権力になったジャニーズ事務所に対してメディアをはじめ誰も疑義を挟めなかったということなのだ。多くの人の暴露や告発が取り上げられなかった。まさに、日本社会の「長いものには巻かれろ」的な権威主義社会の一面を示したものであろう。社長自ら「人類史上最も愚かな事件」と述べた事件を20年前の裁判で敗訴したにもかかわらず放置していた会社とは付き合えないというのは当たり前のことだ。
特に、消費者団体、行政機関も批判を受けても仕方ないだろう。噂があることは知っていたのなら、その有無を契約時に確認したのか?質問したのか?と問いたい。
過去の担当者に厳しい言い方だが、人権原則に従えば「見過ごしてきた」と評価されても仕方ないわけで、今からでも検証を求めたいところである。
告白した元ジャニーズの方々の発言「告発しなかったことで被害者を増やしたかもしれない」とまで悩ませてしまったことに対して、我々は問題行動には声を出すこと、その勇気をたたえないといけない。そして、社会として「検証」していくべきだろう。
トップ写真:サントリーホールディングス本社(2014年1月14日 東京・港区)出典:Photo by Keith Tsuji/Getty Images
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