激減する中国のアフリカ向け融資
Japan In-depth / 2023年10月9日 12時10分
『参考消息』は9月27日付の記事で、ロシアのニュースサイトが「『白書』は、中国が経済とイデオロギーの領域で世界のリーダーになりつつあることを示す」と述べたことを引用した。
そして、「一帯一路」こそ、理想的な世界が創造した物質的な象徴となり、「北京は世界の思想首都となった」と自画自賛している。
しかし、一方、『ラジオ・フランス・アンテルナショナル(rfi)』は北京が「思想首都」として、一体どんな思想を産み出したのか、依然、はっきりしない(e)と鋭く指摘した。
最近、中国自身の経済が低迷し、中国が「一帯一路」で投入している融資が激減しているが、それでも北京が世界の思想首都となれるのだろうか。
現時点での「一帯一路」の状況を一瞥してみたい。
今年、習近平政権肝煎りの「一帯一路」が10周年を迎える中、北京によるアフリカ向け融資は過去20年近くで最低水準に落ち込んでいる(f)。
2021年と2022年の融資は「一帯一路」開始以来、初めて20億米ドル(約3000億円)を下回った。
その原因としては、①パンデミックの発生、②中国の景気後退、③習政権の「一帯一路」の政策転換、④アフリカ諸国の債務に関する懸念等が挙げられよう。
2000年から2022年の間に、中国共産党は「一帯一路」の主要パートナーのアフリカに約1700億米ドル(約25兆5000億円)の融資を提供した。しかし、2016年の280億米ドル(約4兆2000億円)超をピークに、アフリカ向け融資は過去2年間で激減している。2021年、中国の対アフリカ融資額は12億2000万米ドル(約1830億円)、2022年はわずか9件の融資で、その額は10億米ドル(約1500億円)に満たない。
近年の傾向として、北京から融資金額が激減しており、中国共産党の政策枠組みが変化している。そのため、今後、5億米ドル(約750億円)を超える大規模な融資は減少すると予想される。
〔注〕
(a)『自由時報』「北京が『世界の思想首都』に?中国ネット民:官製メディアの『高級ブラックユーモア』と皮肉」(2023年9月30日付)
(https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/4444468)
(b)「中華人民共和国国務院新聞弁公室」『「手を携えて人類運命共同体を構築する:中国のイニシアティブと行動」白書』(2023年9月)
(http://www.scio.gov.cn/gxzt/dtzt/49518/49519_32677/index.html)
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1党員不適切登録の自民・田畑裕明衆院議員、社員が架空党員にされたか尋ねた社長に「党費はあなたが払ったことにして」
読売新聞 / 2024年11月24日 10時57分
-
2セブン&アイ「9兆円MBO案に潜む“危険な賭け”」。非上場で外資による買収は回避できるけど
日刊SPA! / 2024年11月24日 8時52分
-
3「“確率”の問題は“数学I”の範囲外」 受験生の指摘で発覚 島根県立大学の入試で出題ミス 島根県出雲市
日本海テレビ / 2024年11月24日 11時51分
-
4所持金616円でタクシーに約3時間乗車 ゴールは警察署 自称作家の女 詐欺の疑いで逮捕
STVニュース北海道 / 2024年11月24日 9時49分
-
5車動き出し下敷き、71歳妻死亡 群馬の温泉旅館駐車場
共同通信 / 2024年11月24日 1時16分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください