熱い連帯がキーワード〜アメリカの俳優組合ストライキ~
Japan In-depth / 2023年10月14日 19時0分
個人的には、作品の視聴された数で出演料を算出して、出演者に相当の対価を支払うべきだと思うが、配信する側は、なぜか基本となる視聴数の公開を拒んでいる。おまけに、AIの発達で俳優や声優の声の複製が可能になった今、俳優らのコピーが本人の許諾を受けないまま、あちこちの作品に勝手に「無報酬で」出演させられている事態になっており、出演する側が受け取る報酬は、最初の出演時のみ、ということで、俳優らの報酬は激減している。
組合員16万人のうち「スター様」は氷山の一角どころか、針の先ほどもいない。8割以上の組合員は年収2万6,000ドル(円換算で380万円だが、アメリカでの実質生活感覚では260万円)以下で、組合の健康保険に加入できる条件の一つである最低収入の2万7,000ドルを下回っている。
このストは、新たな技術に対する俳優たちの「俳優という職業の存続を賭けた戦い」であり、過去の組合交渉とは比べ物にならないくらい重要な意味合いがある。俳優たちが団体ストという行動に移したのは1980年のストライキ以来43年ぶりであり、皆の悲痛な叫びが聞こえてくる(ちなみに1980年のストの主な争点は当時一般に浸透しつつあった、ビデオの売上に関する利益分配だった)。
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9月も終わりの頃、ニューヨークで俳優組合のデモでも、アジア・太平洋系俳優が中心となるデモがある、と、知り合いのジャーナリストに聞いたので行ってみた。
▲写真 アジア人が多く参加するデモ(執筆者提供)
現場に着いて驚いたのは、アジア人を中心にしたデモのはずなのに、アジア人を上回る数百人の人々がデモに多く参加していたということであった。
この日のデモは、これまでの争点に加え、アジア人などの俳優は歴史的に待遇、収入面で差別されており、これも是正してもらいたいということを訴えるデモであった。例えば、ブルース・リーは60年前、ハリウッドでダブル主役の座を射止めながら同じ立場であるはずの白人主役のギャラの何分の一しか受け取っていなかったが、そういう差別が、どこよりも性差別、人種差別に厳しいはずの今日のアメリカにおいてでも、続いているという。
デモには日本人の俳優も参加していた。
現場にいた、アメリカで活躍する、SAG-AFTRA組合員の日本人俳優、ジュン・スエナガさんに話を聞いた。
ー 今回のデモは、サブスクとAIの問題が大きな争点、ということですか。
ー スエナガさん:加えて、第三の問題として、今の報酬規定はかなり昔に決められたもので、今にはそぐわない。最近のインフレ分も考慮して上げてもらいたい、ということがあります。制作側はこっちも大変、というけれど、ならばトップが得ている収入は異常だと思います。ちゃんと働いている人が正当な利益を得るべきだと思います。
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