米中関係はどうなるのか~トシ・ヨシハラ氏と語る その2 共産党の不器用なプロパガンダ
Japan In-depth / 2023年11月1日 23時0分
ただしこの方法にも危険な側面があります。国民のナショナリスト的な日本非難が過熱して、習政権への抗議へとつながりかねない可能性です。外部の敵への国民の糾弾が自分の方に向かってくる危険です。この状況は虎の背に乗って目的地に進もうとするような行動ですね。
対外的にはいまの中国はアメリカとも西欧とも対立を険しくしています。そんな状況下では日本には一時的にせよ融和策をとって、日本の対中態度を和らげることが賢明なはずです。しかし中国政府は正反対の策をとった。日本を中国からさらに遠くへと押しやってしまった。共産党政権年来の硬直性の結果でしょう。不器用な政治プロパガンダともいいましょうか」
古森 「しかし中国は日本に対して究極的にはなにを求めているのか。私は中国の国策の根幹にはいまの日本の国家のあり方自体への否定があると思います。日本が求める国際秩序とは異なる秩序を求める。日本の国家安全保障のあり方にも反対する。そのうえに中国共産党には年来の『抗日』という名の下の反日基調があります。
中国人民を初めて外国の支配から解放し、とくに軍国主義の日本という最大の敵を倒して民族統一を果たしたのは中国共産党だとする宣言です。だから共産党は永遠に中国を統治する正統性がある。その敵の日本はまだ完全には反省も恭順もしていない。こんな反日思考ですね。だからいまの中国は日本にとって敵性国家といえると思います。だが日本の国政でも、学界でも、こうした中国認識は語られることは少ないです」
(その3につづく。その1)
*この記事は雑誌「正論」2023年11月号に掲載されたトシ・ヨシハラ氏と古森義久氏の対談録「経済衰退しても中国は『軍事大国』」の転載です。
トップ写真:人民大会堂で開催された第14回全国人民代表大会(2023年3月5日 中国・北京)出典: Lintao Zhang/Getty Images
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