米中関係はどうなるのか~トシ・ヨシハラ氏と語る その4 バイデン政権の対中政策「個室化」の欠陥
Japan In-depth / 2023年11月3日 17時0分
古森 「米中両国の相違に関しては最近の米側ではマルコ・ルビオ上院議員らが『文明の衝突』という表現を使うようになりましたね。米中両国は政治の理念や体制の違いだけではなく、歴史、文化、社会、人種など国や民族としての全体の特徴、つまり文明としてそもそも異なり、ぶつかるのだ、という意味です」
ヨシハラ 「その表現はトランプ前政権の国務省高官が対外的に使い、人種という言葉までとくに強調したため、不適切だとして辞任させられたという経緯もあります。でもトランプ政権の中国認識としては『文明の衝突』という概念は本音に近かったようです。
しかしこの『文明の衝突』というのは実は中国側で習近平主席さえも表明しているのです。中国共産党の指導層は米中両国間では文明が異なるのだと強調します。そして中国民族は特別な人種なのだとも強調する。習主席は『中国人のDNAは特別で平和志向なのだ』とも語ったことがある。ここまでいくと民族ナショナリズム、ほとんど人種差別主義にもなります。
だからアメリカ側としては対立相手の中国がこういう主張までしていることをよく考慮して、米中対立の本質を検証し、精査し、定義づけて正しい対中政策の指針とすべきなのです。対中協力の重視は共存ができるという前提なのでしょうが、競合部分は構造的であり、深層にいたります」
(その5につづく。その1、その2、その3)
*この記事は雑誌「正論」2023年11月号に掲載されたトシ・ヨシハラ氏と古森義久氏の対談録「経済衰退しても中国は『軍事大国』」の転載です。
トップ写真:夕方のCCTVニュースで放送された米中首脳会談。北京のショッピングモールの大型スクリーンにて(2021年11月16日中国・北京)出典:Kevin Frayer/Getty Images
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