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「高岡発ニッポン再興」その106 視察で思う「神戸市株式会社」

Japan In-depth / 2023年11月5日 7時0分

「高岡発ニッポン再興」その106 視察で思う「神戸市株式会社」


出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】


・宮岡寿雄氏、神戸市役所職員時代、ポートアイランドで開催した博覧会を成功させた。


・宮岡氏、松江市長時代も松江城の堀や川を巡回する遊覧船を導入するなど辣腕振るう。


・神戸のニュータウン、高齢化による人口減少に直面。


 


私は先日、神戸市を視察で訪れました。神戸港湾事務所の方の案内で、船から、神戸港に浮かぶ人工島のポートアイランドを見ました。六甲山系の山を削った土砂で埋め立てた島ですが、巨大ですね。ポートアイランドには、住宅や工場を誘致しました。


また、六甲山系の削った山は、住宅地にしました。ニュータウンを造成したのです。右肩上がりで増えていく人口に対応したのです。こうした巨大プロジェクト、神戸市が行ったわけです。


日本の高度成長まっしぐらの時に、神戸市はポートアイランドなどの事業が高く評価され、「神戸市株式会社」と言われていました。


私は、神戸港やポートアイランドを見ながら、ある人物を思い出しました。松江市長だった宮岡寿雄さんです。私は松江支局に赴任している際、宮岡さんは、取材相手であり、スポーツクラブの仲間でもありました。宮岡さんは、身長180センチを優に超え、体格が大きかったことから、プールで泳いでいると、波ができたほどでした。私はひそかに「クジラ市長」と名付けていました。


宮岡さんは平成5年に松江市長選で初当選しました。相手は2期目を目指す現職でしたが、破りました。人口150万人の巨大都市の助役という経歴の大型新人です。松江市長選は、私が時事通信の記者として、赴任した直後でした。ワクワクして記事を書いたのを今も覚えています。そしてその当時、神戸市についても調べました。


宮岡さんは島根県出身で、大学を卒業後に、神戸市役所に入りました。市役所で上り詰めてました。華々しい経歴の人でした。「神戸市株式会社」の立役者でした。冒頭のポートアイランドで開催した博覧会を大成功させました。


宮岡さんは助役として、9年間にわたり、采配を振るったのです。そして、満を持して、平成元年に神戸市長選に出馬しました。ところが、落選しました。その後、松江市長になったわけですが、松江市でも辣腕を発揮しました。松江城の堀や川を巡回する遊覧船を導入しました。「水都」松江市の魅力をアピールし、観光の目玉となったのです。また、観光地の巡回バスなども実現しました。宮岡さんは神戸市では、市長になれなかったのですが、松江市では市長として、矢継ぎ早に政策を実行したのです。


宮岡さんは2期目の任期途中がんで亡くなりました。6年半でしたが、数多くの実績を残した市長でした。松江市を観光のまちにした立役者で、名誉市民賞を得ています。


さて、神戸市ですが、今年10月1日現在、人口が149万9887人になりました。前の月に比べ、806人減り、150万人を割り込みました。150万人割れは、22年ぶりです。その原因は、冒頭にあげたニュータウンの高齢化です。山を切り開き造成したのですが、居住者が高齢化し、死亡者数が増えているのです。皮肉なことですね。人口増加時代のシンボルが今では、人口減少の要因になっているのです。宮岡さんは空から、今の神戸市と松江市をどのようにみているのでしょうか。


トップ写真:神戸空港(上)と神戸ポートアイランド(中央)


出典:Taro Hama @ e-kamakura/GettyImages


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