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朝日新聞「論壇時評」の奇々怪々

Japan In-depth / 2023年11月16日 18時1分

とくにこれまでは朝日新聞の保守系雑誌の無視ぶりが徹底していた。産経新聞が刊行する月刊雑誌の「正論」も時宜を得た論文を毎号、多数、掲載する。日本の安全保障や外交問題についてのレポートや評論も頻繁に載る。だが朝日新聞の論壇時評が「正論」に触れることは、私の長年の考察の範囲ではただの一度もなかった。この長年の朝日新聞の偏向は奇妙さらには狭窄だといえた。


 ところがその朝日新聞の論壇時評に最近、変異が起きたのだ。10月26日の朝刊の同紙の論壇時評だった。この時評の全体の執筆者は東大社会科学研究所の宇野重規教授である。宇野氏は朝日御用学者の色彩をにじませるスタンスで左傾雑誌の「世界」に載った論文を最優先で取り上げ、ほめていた。


だがその評論の下段に朝日新聞の論壇委員が選ぶ「今月の3点」という欄があって、6人ほどの委員がそれぞれこの月にもっとも興味を惹かれた論文3点をリストアップして、賞賛していた。その欄になんとHanada 11月号という文字があったのだ。同時に「正論」11月号という記述もあった。私の知る限り、朝日新聞の論断時評Hanada や「正論」という文字が出たのは初めてだった。


朝日新聞になにか変化が起きたのだろうか。それとも日本の論壇ではついにHanada も「正論」も、朝日新聞でさえ無視できない地歩を固めたということなのか。


この保守系両雑誌の論文を「今月の3点」としてあげたのは気鋭のルポライターとされる安田峰俊氏だった。安田氏は中国共産党政権の内外での人権弾圧などについての著作が多く、大宅壮一ノンフィクション賞の最近の受賞者でもある。朝日新聞の左傾度からすれば、明らかに異なる政治スタンスを感じさせるジャーナリストのようだ。


ちなみにその安田氏が「今月の3点」うちの2点としてあげたのはHanada 11月号の百田尚樹、有本香 「日本保守党が日本を取り戻す」と、「正論」11月号の東野篤子 「『プーチン擁護論』の歪みと陥穽」 だった。


この朝日新聞の論壇時評の変化は長年、その内容をみてきた私のような人間にとっては奇々怪々にも映る。一体、なにがこんな変化を生んだのか。その答えを知る人がいれば、ぜひとも教示を願いたいところである。


*この記事は日本戦略研究フォーラムのサイト掲載の古森義久氏の論文の転載です。


トップ写真:朝日新聞本社 東京都・中央区 ⒸJapan In-depth編集部


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