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「イスラエル・ロビー」とはなにか その1 アメリカでのロビーの権利

Japan In-depth / 2023年11月19日 17時0分

 さてイスラエル・ロビーについて詳述する前に、アメリカでのロビーとはなにかを説明しよう。


 アメリカ独特の政治の現象であり、システムなのだ。


 Lobby とは一体なんなのか。


 「この世でもっとも古い職業は売春だ、と世間の人たちはよくいう。だが私はロビーこそ最古の職業だと思う」


 ワシントンで1970年代に活躍していた古参ロビイスト―ロビーをする人間、という意味である―の1人、チャールズ・リプセン氏が冗談まじりにこんなことを述べていた。その骨子は以下のようだった。


 その昔、アダムとイブのいたエデンの園で、邪悪なヘビがイブをそそのかして禁断の果実を食べさせた。知恵の木の果実を口にすることは悪ではなく美徳なのだという「知識」をヘビがイブに与えたことにより、イブはその果実を食べてしまった。知識を与え、働きかけるそのプロセスこそロビーである――リプセン氏はこんな話しを使って、現代のロビー活動の原理はエデンの園の太古から存在した、と説明するのだった。


 


 アメリカでのロビーとは簡単にいえば、ホワイトハウスや国務省という行政府や、連邦議会上下両院という立法府に対して特定の目的にもとづき働きかける、あるいは影響を与えようとする活動を指す。その働きかけの相手が一般国民である場合もある。そのロビー活動を実施することをロビイング Lobbying という。その活動を実際に実行する人間はロビイストと呼ばれる。


 ロビーがなにかを知らないでアメリカの現実の政治を理解することは難しい。なぜならロビー自体がアメリカ合衆国憲法で認められた国民の重要な権利であり、そのロビイングの動きが現実の政府や議会の政策を大きく動かしているからだ。


 アメリカのロビイングは憲法修正第一条を法的根拠としている。憲法により保証された立派な権利なのだ。修正第一条は以下のように記している。


 「連邦議会は言論および出版の自由を制限し、あるいは国民が平穏に集会をし、また苦痛事の救済に関し政府に対して請願をする権利を侵すことはできない」


 ロビイングとはつまり請願なのである。そしてその権利は言論や出版の自由と同列に憲法によって保証されているのだ。


 イスラエルを支持する勢力はそもそもはこのロビーの権利、請願の権利に拠って立ち、アメリカの政府や議会に働きかけてきたのである。


(その2につづく)


トップ写真:米国イスラエル公共問題委員会 (AIPAC) 年次政策サミットに出席したブリンケン米国務長官。右は、マイケル・トゥーチン会長 2023 年 6 月 5 日にワシントン D.C. 


出典:Chip Somodevilla/Getty Images


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