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「上川陽子次期総理総裁説」急浮上のわけ

Japan In-depth / 2023年11月30日 12時0分

にもかかわらず、なぜ「上川陽子次期総理総裁説」が持ち上がっているのか。それは岸田首相側の「セーフティネット」ではないだろうか。すなわち「岸田首相が退陣を余儀なくされた後も、岸田サイドが政権を維持するための方便」ということだ。そうすれば、岸田首相は“院政”を行うことができるし、現在の指揮系統はそのまま維持が可能になる。





その周囲を巣くう“利権”も、「岸田政権の終焉」を望んでいない。「上川陽子次期総理総裁説」がどこから流されているのかを見れば、それがよくわかる。彼らは意図的に“風”を作り、「岸田降ろし」に備えているのだ。裏を返せば、それだけ岸田政権がもろいということを、彼ら自身が示しているということになる。





減税を巡って混乱している問題も、岸田政権の危うさが原因している。岸田首相は10月23日の所信表明で、「(税収の上振れ分を)国民に還元する」と宣言したが、省益を害されると踏んだ財務省にたきつけられた鈴木俊一財務大臣は、11月8日の衆院金融財政委員会で「政策的経費や国債償還などにすでに充てられた」と否定。鈴木氏は、国民民主党が提唱しているガソリン税をめぐるトリガー条項凍結解除についても、「国・地方合計で、1.5兆円の財源が必要になる」と、前向きな姿勢を示した岸田首相に釘を刺した。





もちろん鈴木氏の背後には、安倍・菅政権の約9年にわたって財務大臣を務めた麻生太郎元首相の存在が伺える。この超大物政治家の承諾を得ずして、財務省が動くはずがない。さらにいえば鈴木氏は麻生元首相の後任であると同時に、義弟であるという関係だ。





なお党内第2派閥の志公会を率いる麻生元首相は、第3派閥の平成研会長を務める茂木幹事長とともに、岸田政権を支える立場にある。だが麻生元首相の野心はそれに止まらない。今年5月からは定期的に非主流派の二階俊博元幹事長と懇談し、政治情勢についての意見を交換するなど、キングメーカーとして権勢を振おうとしている。





そして麻生元首相こそ、上川氏を“ポスト岸田”に押し上げている張本人といえるだろう。すなわち、延命のために減税など人気獲りに走ろうとする岸田首相を牽制し、上川氏という“駒”をちらつかせることで、党内外に存在感を示そうとしているわけだ。このように、岸田首相の周辺には、さまざまな思惑に満ちた勢力が多重に取り巻いているといえるのだ。





そのような構造の上に立ち、岸田首相は得意の「人事」でもってバランスをとっていこうとしているが、果たしてどのくらい保つことができるのか。内閣支持率低下の強風は止みそうにない。





トップ写真:アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する岸田総理 (2023年11月16日カリフォルニア州サンフランシスコ)出典:Kent Nishimura/Getty Images




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