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米軍、有事には北朝鮮軍事衛星を無力化

Japan In-depth / 2023年12月4日 13時13分

また、衛星で写真を撮影したデータを地上の受信所へ伝送するデータ送受信技術も、一部先進国だけが保有している核心技術のため移転は容易でない。ロシアが核心技術と核心部品(センサー)を簡単に移転するはずはないが、もし提供したとしても、設計に反映させて作り上げ、早期に打ち上げるのはほぼ不可能である。





こうしたことから、万里鏡1号は、現在先進国で運用する気象・地球観測目的の小型衛星の性能にも満たない試験用衛星にすぎないといえる。万里鏡1号の重さは300キログラム前後と推定されるが、この程度では事実上軍事的価値はほとんどない。基本的に衛星は重いほど高解像度センサーを装着できるため、米国やロシアなど先進国の軍事偵察衛星は1~20トンの中大型衛星だ」(中央日報日本語版2023/11/26)。





金正恩は、万里鏡1号衛星を「万里を見下ろすことができる目」と表現したというのだが、「見下ろす(굽어본다)という言葉の意味は、上から下を見る、俯瞰するという意味で、精密に物体を確認するときに使う表現ではない。朝鮮中央通信の用語使用が厳密だとすれば、金正恩が万里鏡1号で撮影したと主張する「グアム・アンダーセン基地」の衛星写真の解像度は、撮影できたとしても軍事的価値がある解像度ではないと解釈できる。しかし米軍は、この点についても、衛星の軌道進入時間と通信・送受信内容から見て、アンダーセン基地を撮影したとする主張は「嘘」であるとしている。北朝鮮が撮影したとする写真を公表していないのはそうしたことと関係しているかもしれない。





■ 米宇宙軍、万里鏡1号を登録し有事には瞬時に無力化





米宇宙軍司令部が運営する世界中の衛星追跡・探知ネットワーク「スペース-トラック」は、北朝鮮が軍事衛星を発射した次の日の22日、軌道に乗った2つの物体に関する情報を公開した。衛星とともに軌道に乗ったもう一つの物体は、衛星を載せていたロケットの上端部分なので宇宙廃棄物として特別な機能はない。





米宇宙軍は、北朝鮮の衛星について、初速7.6Km/sで地球の軌道を回り、1日に地球を15周しており、そのうちの2~4回が韓半島(朝鮮半島)上空を通過しているとした。





しかしこの衛星のカメラは、光学カメラなので、夜には機能しないという。





宇宙専門家のジョナサン・マクドウェル「ハーバード・スミソニアン天体物理学センター」博士によると、衛星は約507Km上空の軌道にあるが、これらの番号を58400と58401として登録したという。米宇宙軍司令部が、衛星追跡体系に北朝鮮の万里鏡1号を登録したことにより、この衛星はいつでも米軍により除去される状況になった。とはいえ、衛星が周回している昼時間には米国の空母がどの位置にいるかぐらいは識別できるので、その点では米軍にとって全く脅威がないとは言えない。





米国は東北アジア地域に随時に位置を変える対衛星兵器のCCSブロック10を配置している。このシステムは、いつでも北朝鮮衛星の通信を妨害して撹乱し、必要時には、統制(誤作動させる)できる能力を持っている。金正恩が米軍空母の位置を探知し、攻撃を準備した瞬間この衛星は除去される運命にあるということだ。





トップ写真:北朝鮮のロケット発射のファイル画像を映すテレビ放送を見る人々。北朝鮮は、軍事衛星打ち上げの2回目の試みは失敗に終わったと発表した。(2023年8月24日 韓国・ソウル駅)出典:Photo by Chung Sung-Jun/Getty Images




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