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「イスラエル・ロビー」とはなにか その4 反対議員への集中攻撃

Japan In-depth / 2023年12月6日 11時0分

アメリカ国内のイスラエル・ロビーは当然ながらこのパーシー議員に対して前例がないとまで評された激烈な攻撃をかけたのである。





パーシー議員のワシントンの事務所には同議員の地元選挙区のイリノイ州から1週間のうちに手紙が約4000通、電報が約2000通も殺到した。そのほぼすべてが同議員に対して、そのイスラエル批判の一連の言明に抗議し、「上院議員76人の書簡」への同意を迫るという内容だった。政治家にとって自分の選挙区での動きはもっとも気になるのは当然である。





イスラエル・ロビーはイリノイ州内の各地でパーシー議員を批判する抗議集会を開いた。次の選挙ではパーシー議員に投票するなというメッセージを明確にうたう集会だった。パーシー議員の事務所にはイリノイ州以外でもユダヤ系住民の多いニューヨーク州やニュージャージー州からの抗議状がどっと届き始めた。危機を感じたパーシー議員は地元のイリノイ州に頻繁に戻り、選挙民に自分の中東情勢への立場を熱心に説いて回った。なぜイスラエルの主張には同調できないかの説明だった。





「イスラエル国内ではこの種の政策論争が自由にできるのにアメリカではそれがロビーの圧力のためにできない」





パーシー議員はこんな悲鳴に近い抗議の声まであげたのだった。





イスラエル・ロビーはイスラエル全面支援の政策に反対する他の有力議員たちにも同じような攻撃をかけていた。1970年代の連邦議会では有力議員とされた共和党のマーク・ハットフィールド上院議員も「上院議員76人の書簡」への署名を拒み、時のフォード政権の親イスラエル傾向に反対したために、イスラエル支持勢力に地元の選挙区のオレゴン州をかき回されたのだった。イスラエル・ロビーはハットフィールド議員に直接の抗議のメッセージを殺到させるだけでなく、選挙の際には同議員の対抗候補に全米各地からの支援を投入した。





イスラエル・ロビーはオレゴン州の上院議員選挙ではハットフィールド議員の対抗馬の陣営に選挙活動家多数を送りこむとともに、多額の選挙資金をも寄付したのだった。同議員は当面の選挙にはそれでも勝利したのだが、一時は反対勢力のパワーには恐怖に駆られたと、もらしていた。





ここまでみてくると、イスラエル・ロビーは民主党議員を味方につける場合が多く、猛烈な反対の運動をぶつけるのは共和党議員が対象というふうにもみえる。だが実際にはそうした党派の区別はあまりないのが現実だった。





(その5につづく。その1、その2、その3)





トップ写真:チャールズ・パーシー上院議員(1970年8月20日)出典:Bettmann / GettyImages




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