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今冬のインフルエンザシーズンに向けて、ワクチンでしっかり予防しよう

Japan In-depth / 2023年12月7日 23時12分

私は日本でも同様のことが起こるのではないかと懸念している。日本でも、パンデミックの2020〜2022年はインフルエンザの大きな流行がなかった。普通に流行していれば不顕性感染や軽症の感染で自然免疫を活性化できたかもしれないが、その機会がなかった。インフルエンザワクチンをうたずにいた人たちも少なくない。また、つまり、パンデミック前と違って今年はインフルエンザに対し無防備な人が多いのだ。日本では夏頃からインフルエンザが流行しており、勢いが止まる気配がない。これは多くの人で、インフルエンザに対する免疫力が低下しているためだ。医学的には「集団免疫」の低下という。





特に心配なのは今冬だ。それは、新型コロナウイルスが5類感染症の扱いとなり、初めて迎える冬だからだ。ここまで、インフルエンザの流行状況は異様だ。東京では8月半ば頃からA型インフルエンザ患者が目立つようになり、9月21日に東京都でインフルエンザ流行注意報が出され、いまだ解除されていない。その後、東京都のインフルエンザ患者数は10月中旬をピークに少しずつ減ってきていたのに、11月半ばからは再び増え始めている(参照5)。





札幌市も同様だ。札幌市は、下水中のウイルス量を測定することで感染症の流行傾向を把握しているが、ここでも11月以降のインフルエンザウイルスの下水中の濃度は上昇傾向だ(参照6)。夏の数値よりも検出されるウイルスの量は増えており、今後、感染が爆発的に拡大してもおかしくない。





通常、日本でのインフルエンザの流行は冬だ。例年、12月末頃から流行が始まり、1〜2月をピークに、4月以降に流行は下火になる。今年、10月に収束し始めたかに見えた流行が再燃していることに危機感を感じる。夏場の流行だけでは、十分な集団免疫が獲得できていないのだろう。このまま、流行が拡大し、昨冬の米国や今冬の中国のようになるかもしれないというのは、十分に予想されうる事態だ。





では、どうすればいいのか。今からでも遅くないので、ワクチン接種をしてほしい。インフルエンザワクチンは重症化や死亡率を減らす。65歳以上の死亡抑制効果は約80%という報告もある。さらに、今年は大人も2回目の接種を考えてもいいと思う。例年、過去の感染やワクチン接種で一定の免疫獲得している成人は、単回接種でも十分にインフルエンザに対する免疫が活性化とされると考えられている。だが、4年にわたり、インフルエンザが流行しなかったため、多くの人で免疫レベルは著しく低下しているはずだ。1回より2回接種の方が強い免疫が誘導される。受験生など、人生の大きなイベントが控えている人には追加接種をお勧めしたい。幸い、今年のインフルエンザワクチンは今のところ十分に生産されている。是非、身近な医師にご相談いただきたい。





参照1)中国における呼吸器疾患の多発について(2023年11月30日)





参照2)中国で小児を中心に増加が報じられている呼吸器感染症について





参照3)Weekly U.S. Influenza Surveillance Report | CDC





参照4)全米で呼吸器疾患が流行、子どもの入院も急増 米CDC所長 - CNN.co.jp





参照5)東京都感染症情報センター





参照6)下水サーベイランス/札幌市





(この記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会 Vol.23222 今冬のインフルエンザシーズンに向けて、ワクチンでしっかり予防しようの転載です)





トップ写真:イメージ(本文とは関係ありません)出典:Paulo Fridman /GettyImages




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