習政権、社会主義路線を堅持するか【2024年を占う!】国際: 中国経済
Japan In-depth / 2023年12月19日 23時0分
例えば、中央直轄市である天津市はすでに事実上破産(f)した。2010年に始まった天津浜海新区の開発は、中国で最も有名なゴーストタウンを生み出し、新都市開発における負の見本となった。
『ゴールドマン・サックス』(e)によると、2021年末の中国の総負債額は50.1兆米ドルで、そのうち政府負債は11.3兆米ドル(国家負債3.4兆米ドル、地方政府負債7.9兆米ドル)、人民の負債総額は約30兆米ドル(うち80%以上が住宅ローン)、企業負債は約8.8兆米ドル(うち60%が不動産企業)になるという。
このような厳しい状況の中、近頃、中国全土で相次いで、公機関の従業員の給与カットや手当の取り消し(g)が行われている。北京、上海等では政府の財政補助金削減のため、医師、政府機関の従業員の収入の深刻な減少につながっているという。また、広東省のような経済的に大きな省でも、定年退職者の年金が3分の1以上カットされた。
一方、最近、習政権は、身内の「太子党」一族から資産を吸い上げ始めた(h)。中央政府が直面している経済危機打開しようとして、習主席は有力一族から少なくとも3分の1の資産を徴収している。目下、2つの一族(江沢民・胡錦濤ファミリー)を除くすべての有力一族が、彼らの“安全”と引き換えに資産の一部を引き渡しているという。
ひょっとすると、年内、年明けにも、第20期3中全会(今後、5年間の経済政策を打ち出す)が開催されないかもしれない。習近平政権がこのまま社会主義路線を疾走するのか、それとも「改革・開放」路線を復活させるのかが注目される。
いずれの路線を採るにせよ、来年の中国経済の見通しは厳しく、政治危機をもたらしかねないだろう。
〔注〕
(a)『中国瞭望』「中国経済の苦境の根源は何か?」(2023年12月4日付)
(https://news.creaders.net/china/2023/12/04/2675733.html)
(b)『万維ビデオ』「1年で企業の3分の1が倒産し、中国の重要産業が崩壊」(2023年10月6日付)
(https://video.creaders.net/2023/10/06/2655381.html)
(c)『光伝媒』「袁原:そろそろ時間だ......。」(2022年8月27日付)
(https://ipkmedia.com/159584/)
(d)『中国瞭望』「WSJ:中国における金融危機を排除できない」(2023年10月19日付)
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