過去から素敵な贈り物〜NY地下鉄「ホリデー・ノスタルジア・ライド」
Japan In-depth / 2023年12月23日 21時0分
柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)
【まとめ】
・NY地下鉄の年末恒例「ホリデー・ノスタルジア・ライド」。
・ビンテージ車両「R1」が毎週土曜日1日4回往復、12月最後の土曜日まで運行される。
・古き時代に思いを馳せる時間を与えてくれるこのイベントは素敵なホリデープレゼント。
ニューヨークの人々の日常の足、地下鉄。
NYの地下鉄は、コロナ禍で一気に利用率が減り、その後、コロナ禍以前より犯罪が増えたなどの理由で、利用率はなかなか戻らないでいたが、徐々に回復、去る11月14日、2023年に地下鉄に乗った10億人目の乗客を記念する式典が行われた。(参考記事:Governor Hochul Announces New York City Subway Hit One Billion Rides This Year)
昨年2022年に10億人目の乗客が乗ったのは12月26日だったと言うから、今年は一月半も早く、乗客10億人目が達成されたことになる。利用率は、昨年に比べて8%上昇したという。一時的に利用率が落ちたとは言え、ニューヨークの地下鉄は人々の重要な足であることには変わりない。
ニューヨークの地下鉄は、120年あまり前の1904年に開業した。
日本の地下鉄は、その昔「ニューヨークの地下鉄を大いに参考にした」ということであるが、現在、ニューヨーク市内を走る地下鉄のほぼ半分は、川崎重工製造の車両であることはご存知であろうか。
写真)宇田川氏デザインによるNY地下鉄の最新車両R211。車両内のデジタル表示、乗客の乗降効率を上げるために、次の駅で開く側のドアが光る、などの工夫がある。歴代のNYの地下鉄車両の中でドア幅が一番広い
筆者提供)
最新のR211型と呼ばれる車両は、日本人工業デザイナーの宇田川信学(うだがわ・まさみち)氏によるもので、20年あまり昔から製造されていた数種類の地下鉄車両のデザインは、すべて宇田川氏によるものである。宇田川氏は、地下鉄車両のデザインのほか、地下鉄の券売機始め、多くの市内の公共物のデザインを手掛けて、日米から多数表彰されている。
宇田川氏デザインの日本発祥の地下鉄がたくさんニューヨークを走る中、この冬、恒例のニューヨークの地下鉄でのイベントが行われた。
「ホリデー・ノスタルジア・ライド」というこのイベントは、何十年も前のビンテージ車両が、現役の地下鉄車両に混じって通常ダイヤを走る、という企画で、地下鉄の利用客なら誰でも乗れる。コロナ禍の2年間を除いて毎年行われ、2007年からNYでは年末恒例の企画としておなじみになってきた。
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