1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「AI内閣」が誕生する日 続【2024年を占う!】その2

Japan In-depth / 2024年1月15日 20時9分

先を読む力に加え、必ずしも論理的ではない「勝負勘」が物を言う将棋の世界でも、ここ数年、プロの高段者がAIの前にたじたじとなっているのは、よく知られる通りだ。





さらに言えば、これは私の個人的な感想であることを明記しておくが、真っ先にAIに取って代わられそうな仕事とは、大新聞の記者ではあるまいか。





記者クラブを通じての公式発表を、それらしい記事にまとめるというだけの仕事ならば、それこそAIで十分なわけで。





4日、岸田首相は官邸で年頭の記者会見を開いたが、被災地に急行したわけでも、会見後すぐに駆けつけるわけでもないのに作業服姿で、これはまあ毎度のことだとしても、会見の内容自体、いささかひどい。いや、ひどすぎる。





能登半島沖地震への政府の対応について説明した他、自民党派閥のいわゆるパーティー券問題に関して、党総裁直属の「政治刷新本部」を来週発足させると表明した。





質疑応答も含めて40分ほどの短い会見で、しかも「表明」の大部分は原稿棒読み。





そして進行役が





「以上をもちまして……」





と会見終了を告げた時、一人の記者が手を上げて、





「総理!原発について質問させてください」





と大声で呼びかけ、





「地震から3日経過したのに、いまだに総理は原発についてコメントしていません」





とたたみかけたのである。





ニュース映像を見る限り、岸田首相は声の主をまっすぐ見つめ、なにか言いたそうな様子にも思えたのだが、進行役がまたも、





「大変恐縮ではございますが、現在挙手いただいている方につきましては本日中に一問、担当者宛にメールでお送りください。後日書面で回答させていただきます」





と言うやいなや、そそくさと書類を片付け、立ち去っていった。





「総理、原発再稼働はあきらめるべきではありませんか」





「聞く力はどこへ行ったんですか!」





という声が虚しく響く(他の記者は、誰一人同調しなかった!)ところで、中継も終わっている。





この記者の意見については、それぞれの評価があるだろう。





政府が原発再稼働を推進しようとしているのは、日本のエネルギー事情や、脱炭素の問題があると言われる。しかし反面、





「活断層だらけの地震大国である日本で、これほど多くの原子炉が稼働していて大丈夫か」





という疑問は、古くて新しい問題ではないのか。今次の震災では幸いなことに、日本海側の原発に被害は生じなかったが、再稼働した直後であったなら……と考えたのは私一人ではあるまい。





今では地震・津波への対策もちゃんと講じられている、という声も聞くが、それならば、国民にそのことをわかりやすく伝えるのが為政者の義務だ。





そもそも、コスト面の問題も含めて、原発の再稼働が正解なのか、否か。





この点について、内閣総理大臣以外、どこの誰が「担当者」たり得ると言うのか。





誰一人として疑義を呈さなかった時点で、日本の記者クラブ制度は、ジャーナリズムとしての命脈を絶たれたと言って過言ではない。





このレベルのメディアしか存在しないから、いい加減な会見しか行われない。それはすなわち、マスメディアが国家権力を監視する機能を放棄したに等しい。





この意味では、岸田首相もその職責を放棄したも同然ではないか。





原稿を棒読みするだけの会見しかできず、多くの国民にとって重大な関心事である質問から逃げるような首相なら、それこそAIに代わりを任せてよい。





(その1はこちら)





トップ写真:会見する岸田文雄首相(令和6年1月11日 東京・首相官邸)出典:首相官邸




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください