結局は公明党次第なのか(上)続【2024年を占う!】その7
Japan In-depth / 2024年1月30日 18時0分
シリーズ第2回(1月15日掲載)でも触れたが、4日の記者会見で岸田総理は「政治刷新本部」を発足させると表明していた。このため同本部に名を連ねた議員からは、
「今までの議論はなんだったのか」「これではまるでクーデターだ」
などと不満の声が噴出したと聞く。
たかだか2週間で、どれだけの議論が積み上げられたのか、という詮索はさておきて、こうした経緯を受けて、マスメディアはこの騒ぎを「岸田の乱」と名づけた。
この日から1週間、私は朝昼晩とニュースサイトをチェックし、世論調査にも目を配ったが、案の定と言うか、これで自民党が派閥のしがらみや金権体質から脱することができると考えた人など皆無に近いことが分かった。実際問題として23日に発表された「政治改革に関する中間取りまとめ案」においては、派閥全廃という文言はどこにもなく、むしろ政策集団としての存続を容認することが示唆されていたのである。
たとえは悪いが、かつて暴力団が政治団体に衣替えしたことを彷彿させる。
どういうことかと言うと、1964年から69年にかけて、警察庁が旗振り役となって、全国の暴力団に対する徹底的な取り締まりが行われた。暴力団組織はピラミッド型であり、末端をいくら捕らえても埒があかないと、幹部クラスが標的となったことから、頂上作戦と呼ばれる。この「第1頂上作戦」を受けて、山口組を除く大半の暴力団がひとまず解散し、政治結社に衣替えをして生き残りを図ったのである。
この頂上作戦についてだが、前年、すなわち1963年暮れに「関東会」を名乗る団体が、
「自民党は派閥抗争をやめろ」
という主旨の文書を党本部や議員会館に送りつけたことと無関係ではない、と見る向きが当時から多かった。
関東会とは、後にロッキード事件で有名になる右翼フィクサー・児玉誉士夫の肝煎りで旗揚げされた団体で、住吉会、松葉会、錦政会(=稲川会)などが名を連ねている。いわば暴力団が連名で自民党に諫言したことになるわけで、国家権力は裏社会の度を超した増長は許さないということだろう、と立花隆氏も著作の中で開陳していた。
今これを思い返すと笑うしかないが、現在の自民党に話を戻すと、政策集団への衣替えどころか、麻生派(志公会)と茂木派(平成研究会)は26日段階で派閥解散を拒み続けている。ただ、茂木派からは小渕優子・選挙対策委員長ら著名な議員が何人か離脱した。
いずれにせよ最大派閥の安倍派(96人=解散直前の時点。以下同じ)をはじめ岸田派(46人)、二階派(38人)、森山派(8人)と解散ドミノが起きたことにより、自民党議員の7割は無派閥となったわけだ。
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