ペットの権利は誰のもの?動物愛護法改正に向け、署名活動中~そこが変だよ!犬猫裁判~
Japan In-depth / 2024年1月31日 15時51分
③ 行政による被虐待動物の保管
一時保護された動物は、原則として、行政が保管する(所有権喪失後は、民間等とも連携の上、新しい飼い主探しを行う)。
これらは、飼い主が所有権を放棄し行き場を失った動物が安心して暮らせるようになるための要請だ。
◾️改正に向けての課題
「動物の緊急一時保護が必要」と前述したが、実現には課題が残されている。都道府県や市区町村などが運営している動物愛護センター(自治体によって呼び名は異なる)は、遺棄などによって飼い主がいなくなった動物などが保護されているが、施設数が足りていないのだ。受け入れられた動物は引取先を探すが、新しい飼い主が見つからなければ殺処分となってしまう。近年殺処分数は減少傾向にあるが、それは民間の保護施設が増加しているからだと考えられる。だが民間の施設の全貌を把握するのは困難で、実態が明らかになっていない。保護施設の拡充に国が尽力していく必要がある。
◾️虐待を防ぐには
また、動物の虐待を防ぐためにはそもそも虐待をするような飼い主に動物を引き渡してはならない。現在の日本は街中にペットショップが点在し、誰でもお金さえ払えば手軽にペットを飼い始めることができる。特にコロナ禍で増えた「おうち時間」を充実させるためにペットを飼い始めた人も多かった。
しかしペットの需要が急に増えることは、劣悪な環境での過剰な繁殖を促すばかりか、ネグレクトや虐待に繋がりやすい。実際、動物愛護先進国とされるスイスやイギリスはすでに生後8ヶ月未満の動物の売買と、動物のペットショップでの販売を禁止している。
こうした状況から2019年には飼育者一人当たりの飼育数を犬は15匹、猫は25匹、販売用の犬は20匹、猫は30匹を上限とする動物愛護管理法の改正案が生まれた。だが、ペットショップやブリーダーからの「環境の整備が追いつかない」「殺処分が増える」などの声を受けて、2024年度に施行は先送りされている。
◾️海外の事例
ドイツでは民間の動物保護施設である「ティアハイム」が注目を集めている。シェルターに動物を閉じ込めるのではなく、一匹あたり最低6㎡以上の広い飼育スペースが確保され、互いに顔が合わせられるように設計がなされている。また付近の敷地は自然に囲まれており、かめやうさぎといったそれぞれの飼育環境にあった場所が用意されている。「動物の幸せ」を一番に考えた施設だ。この施設の譲渡数は8割を超えているという。
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