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慰安婦は性奴隷ではなかった証拠

Japan In-depth / 2024年2月1日 18時0分

ラムザイヤ―教授は日本やアジアでの貧困が不幸な売春を生んだことへの同情をも表明していた。この点、アメリカ人のキリスト教宣教師だった父親の下で少年時代を九州で過ごした同教授には日本や日本人への温かい思いもあることが学術論文のなかでさえ、感じさせられる。同教授は朝鮮半島などアジアの各地で慰安婦という公娼に応募した女性たちの貧困な背景にも人道主義といえる観点からの認識を示していた。





しかし本書でラムザイヤ―論文が最も大きな重点をおいたのは日本の政府や軍が若い女性たちを組織的に連行したり、強制的に売春をさせた事実はなかったという点だった。





だから本書は日本の国家国民へのおぞましい冤罪、そして汚辱を改めて晴らす第一級資料でもあるのだ。





だがさらに衝撃的なのはラムザイヤ―教授自身へのアメリカ学界、とくに日本やアジアの研究分野の人たちからの迫害である。同教授の新論文の米側学術誌への掲載が決まった段階から同教授への脅迫に近い攻撃が始まったことを教授自身が具体的に伝えている。





その種の攻撃をする側は慰安婦に関する虚構を虚構と認めていないのだ。吉田清治という人物によるウソの報告に明らかに依存して、「強制連行、性的奴隷」説を打ち上げてきた事例も明確だった。さらには朝日新聞が後に全面撤回した一連の慰安婦強制連行報道をも根拠にして性的奴隷説を唱えてきた学者、研究者たちも存在したことも明らかだった。虚構の上に立った虚論を正論だと叫んで、正論を攻撃する、という茶番のような展開だったのだ。





さらに注目すべきは本書の報告するラムザイヤー論文の1本がアメリカ下院の日本糾弾決議の16年も前に発表された事実でもある。この論文だけでも日本軍の慰安婦が「性奴隷」でも「強制連行」でもなかったことが証される。日本側がこの種の資料を使い、早い段階で反論していれば、日本全体への汚辱も避けられたかもしれない。本書の示す教訓の一つだろう。





日本側ではアメリカ下院での決議案が審議され、採決にかけられる過程で、すでにその内容には虚構が多いことはかなり広く知られていた。だが日本政府はもとより民間でも、その虚構を虚構だと正面から指摘する動きはなかった。やはりこの種の不当な非難に対しては日本側自体の正面からの早い段階での反論が欠かせないのである。













▲写真 「慰安婦性奴隷説を ラムザイヤー教授が完全論破」マーク・ラムザイヤー著 藤岡信勝、山本優美子編訳/藤木俊一、矢野義昭、茂木弘道訳(ハート出版 1980円)





**この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏の論文に一部、加筆した転載です。





トップ写真:アムネスティ・インターナショナル事務所で面会する元慰安婦李容洙(イヨンス)氏ら(2007年2月16日、ワシントンD.C.) 出典:Chip Somodevilla/Getty Images




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