「高岡発ニッポン再興」その128 被害住宅最多なのに全壊ゼロ
Japan In-depth / 2024年2月5日 19時0分
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・富山県全15市町村、被災者生活再建支援法の対象に。
・高岡市、被害住宅は県内市町村の中で最も多いが「全壊」はない。
・液状化の深刻な伏木地区・吉久地区、「調査が厳しすぎるのではないか」の声も。
「市民の命と暮らしを守る」。今回の能登半島地震で、私は改めて、政治家として、原点に立ち返ることが大事だと思いました。高岡市では、今回の地震で亡くなった人はいませんでしたが、住宅は深刻な被害を受けました。液状化のためです。厳しい生活に直面しています。私はこうした人たち、そして地域を救いたいのです。どれだけ支援できるか。つまり、「命と暮らし」のうち、「暮らし」を守る。それが政治家の責務です。
2月1日、高岡市議会総務文教常任委員会が開かれました。そこで、私は、罹災証明の調査に関して質問しました。罹災証明というのは、災害が起きた際の支援金などの根拠になる書類です。生活再建に向け、極めて重要になります。
罹災証明では、被害の大きさから、「全壊」、「大規模半壊」、「中規模半壊」、「半壊」、「準半壊」、「一部損壊」の6段階に分けられています。国には被災者生活再建支援金の制度があり、被害の深刻さによって支援金が違っています。「全壊」となった場合、最大で300万円支給されます。
この支援金を受けるために、被災者生活再建支援法が適用されなければなりません。それには条件があります。高岡市で「全壊」が10件以上になるか、富山県全体で「全壊」が100件を超えることです。
この支援法が適用されないと、被災者の負担はかなり重くなります。まず動いてくれたのは、富山県です。支援法に適用されている氷見市だけでなく、富山県内の全市町村に国と同じ支援金を出す制度をつくったのです。
そして、2月2日に、富山県の15市町村すべてが支援法の対象となりました。「全壊」100件超えたからです。一方、高岡市では、被害住宅の件数は県内の市町村の中で、最も多いにもかかわらず、「全壊」はありません。
液状化の深刻な「伏木地区」や「吉久地区」などを訪れると、住民の中には、「調査が厳しすぎるのではないか」という声をよく聞きました。私はそんな住民の思いを踏まえて、委員会で聞きました。「私の方に、高岡市の審査は厳しすぎるという声が届いている。高岡市のこれまでの調査について、市当局はどのような見解か」
それに対し、資産税課長は「内閣府の基準に基づいて罹災調査を実施し、判定している。1月2日、3日に内閣府からの説明会を受けて、5日から調査を実施している」と答弁しました。さらに、「全壊」がないことついて、「富山県、ならびに内閣府に写真などを送り、情報を共有している。適切に判断している。内容に間違いはない」としました。
罹災認定の調査は、資産税課の職員、建築士、さらには補助要員の3人がチームとなって実施。資産税課の職員と建築士がすり合わせて、最終確認しているそうです。
この結果、高岡市では、「全壊」はゼロ。最も深刻なのは、「大規模半壊」で、17件でした。このうち、伏木地区が15件で、吉久地区は2件でした。やはり、深刻な液状化に見舞われた地区です。
トップ写真:高岡市伏木地区。道路が大きく損壊している(筆者提供)
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