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「高岡発ニッポン再興」その129 被災者の暮らしを守るため、大胆な支援を

Japan In-depth / 2024年2月6日 20時15分

「高岡発ニッポン再興」その129 被災者の暮らしを守るため、大胆な支援を




出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】





・生活再建には、巨額の資金がかかる。





・熊本地震の南阿蘇村、住宅復旧工事に補助と国の支援法で個人の負担は実質ゼロのケースも。





・政治の基本は、「市民の命と暮らしを守ること」。





 





液状化で深刻な影響が出た高岡市の「吉久地区」。ある住民は罹災証明の結果を不服とし、再調査を依頼しました。内閣府の液状化の運用指針を読み込み、“理論武装”した結果、「準半壊」から「中規模半壊」に格上げされたそうです。支援金の額は大きく違ってきます。しかし、大部分の人は再調査を依頼していません。





私自身、この指針を何度も読んでいますが、液状化の判定で大事なポイントは「傾き」と「潜り込み」です。2月1日の総務文教常任委員会。市議会議員が当局に質問できる貴重な場なのですが、私が驚いたのは、高岡市では、どこも、2本柱のうちの1つ、「潜り込み」はないという判断を下していることです。「写真を県経由で内閣府に送ったところ、本市では潜り込みではないと判断された」というのです。





道路の片側の家は道路からストンと落ち込んでいる一方、反対側の家は落ち込んではいません。高岡市はこれを家の潜り込みではなく、道路の「隆起」ととらえました。県を通じて内閣府に確認したといいます。この結果、「吉久地区」では「一部損壊」という最も軽いケースが続出したのです。これでは支援金はほとんど出ません。確かに住宅の建物自体は地面には潜り込んでいませんが、最大70センチも道路から落ち込んでいます。車を出すことができないのです。ここに住み続けるのは、困難です。





高岡市も難しい判断を下したのですが、私は何より、こうした方々の暮らしを守りたいと思っています。長岡技術科学大学の木村悟隆准教授は「県に問い合わせ、内閣府に確認したなら、判定を覆すのは極めて困難になる。しかし、罹災証明では、経済的損失という点が重要だ。傾きを直すだけで200万から1000万円かかる。さらに、道路面まで家を持ち上げようとすれば、家をもう一軒立てるのと同じぐらいの費用がかかる」とし、被災者に寄り添うべきだと強調しました。





その上で、「液状化の発生場所や地震によって被害が異なっており、運用指針を柔軟に見直す必要がある。それを政府に訴えるのが政治家の仕事だ」と訴えています。





住宅の再建をあきらめ、解体するケースも出てくるかもしれません。その場合は、「半壊」以上なら、公費解体となります。解体費用すべてを国が負担してくれるのです。住宅の解体費用は最低でも300万円かかると、言われており、公費解体というのは、今後の生活再建を左右します。ただ、「準半壊」以下だと、基本的には、私費解体となります。高岡市は準半壊の被災者の住宅解体を独自に支援しますが、20万円です。





生活再建には、巨額の資金がかかるのです。被災者の負担を少しでも軽くしたいですね。熊本地震の際、南阿蘇村では住宅復旧工事には、3分の2を補助しました。最大633万3000円です。残りは、国の支援法で賄い、個人の負担は実質ゼロとなるケースもありました。





私は伏木や吉久などを歩くたびに、思い切った措置が必要だと考えています。政治の基本は、「市民の命と暮らしを守ること」です。ただでさえ、人口減に悩まされています。今回の地震をきっかけに、引っ越しを決心した人が出ているといいます。地域コミュニティーを守らなければなりません。





トップ写真:吉久地区(筆者提供)




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