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印タタ・グループ名誉会長の「ペット・プロジェクト」とは

Japan In-depth / 2024年2月10日 11時28分

印タタ・グループ名誉会長の「ペット・プロジェクト」とは




中村悦二(フリージャーナリスト)





【まとめ】





・タタ・グループ名誉会長ラタン・タタ氏は「ペット・プロジェクト」を進めている。





・その一環としてムンバイに動物病院を開院。





・先進技術の導入・振興というタタ・グループの“DNA”は今プロジェクトにも活かされている。





 





インドの代表的な企業グループであるタタ・グループのサイトを見ると、ボンベイの本拠「タタ・ハウス」のドアの内側から来訪者を待つ二匹の犬がまず目に入る。グループ名誉会長ラタン・タタ氏の愛する「ペット・プロジェクト」の一幕で、グループの動物愛護運動の紹介コーナーだ。





タタ・グループは、複数の慈善団体が同グループの統括会社であるタタ・サンズの株式の66%を保有。ビルラ、リライアンスと並ぶ3大財閥の一角を占めるが、単一の財閥としては最大とされる。技術関係、自動車、小売り、インフラ(電力など)、金融、宇宙・国防、観光・旅行(ホテル経営など)、IT(情報・通信)、貿易・投資の分野に傘下企業約100社を抱え、従業員総数は百万人を超える。





タイムズ・オブ・インディア紙は、ラタン・タタ氏に対するペット・プロジェクトに絞ったインタビュー記事を載せている(2024年2月8日付け)。





ペット・プロジェクトに絞ったインタビュー掲載自体珍しいが、同氏はその中で、愛犬の人工関節の置換手術を米国のミネソタ大の病院で行わざるを得なかった事例を述べ、〝世界的な動物病院の必要性を痛感した。この3月にやっとムンバイに動物病院が開院する〟ことを明らかにしている。





その動物病院は、整形外科、入院病棟、MRIやCTなどの設備を備えている。年々増加するペットの病気(一説には年間320万頭が罹病)や狂犬病の人間への感染の問題化への対処のためだという。





動物病院はコロナ禍で開院が延期されていたものだが、ムンバイの中心街に位置することになっている。4階建てで、収容数は200匹。英国の動物病院の傘下として開院するようで、獣医も英国で訓練を受ける。





ラタン・タタ氏には、1980年代前半に東京でインタビューしたことがあり、1990年代後半にはシンガポールで再会。1997年にインド取材した折には、都合がつかず会えなかったが、プネのタタ自動車の工場、IT開発センターなどを取材し、幅広い同グループのビジネスの一端に触れることができた。





それだけに、ラタン・タタ氏の2012年の会長退任後の動物愛護の動きは興味深い。





同氏の出自は、10世紀ごろインド亜大陸の西海岸のグジャラート州への居住を時の藩王から許された、ササン朝ペルシャから逃避のパールシー(ゾロアスター教徒=拝火教徒)。





タタの創業者のジャムシェドジー・タタはIISc(インド科学技術大学院大学)を、英インド政庁とかけあってバンガロール(現ベンガルール)に設立するなど高等教育の実現に貢献している。





タタ・グループは現在、ムンバイでがんの研究・治療施設など先進医療機関を手掛けている。先進技術の導入・振興は同グループの‶DNA〟とも言えるものだ。





それを踏まえて、ラタン・タタ氏が心を砕くムンバイの動物病院の模様を、ネットで垣間見てはいかが。





トップ写真:フロリダ州マイアミビーチのニューワールド・シンフォニーで開催されたプリツカー建築賞2015で講演するラタン・タタ氏(2015年5月15日)出典:John Parra / GettyImages




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