血沸き肉踊らない米大統領選、そのわけ
Japan In-depth / 2024年3月5日 18時0分
それよりも、今週筆者が気になったのは、Why Authoritarians Like Saddam Hussein Confound U.S. Presidentsと題したNYTのコラムだ。著者は英エコノミスト誌編集者で、フセイン・元イラク大統領が在職中に残した録音テープなどを含む膨大な未公開史料に基づき、イラク戦争に至る過程を詳述している。
何故これが気になるかって?それは筆者のイラクでの個人的な経験から生まれた疑問だ。当時「イラクが核兵器を保有していないなら、なぜフセインは国連の査察を頑なに拒んだのだろう。査察さえ受け入れていれば、米国のネオコンは対イラク開戦の口実を完全に失っただろうに・・・」と筆者は外務省時代からずっと考えていた。
フセインは単なるバカではない。あまりに誇り高かったから?そんなはずはない。ところがこの問いに答える「アキレスの罠」と題された本が最近米国で出版された。NYTのエッセイはその著者が書いたもので、「イラクは核兵器を持っているというCIAの誤った分析により、米国はイラクに戦争を仕掛けた」という通説を覆すものだ。
フセインは「米国はイランと共謀し、フセイン体制を転覆しようとしている」などと考えていたことが、フセイン肉声の録音テープなどで明らかになったという。筆者にとっては長年の疑問を氷解させる実に興味深いエッセイだったが、これについては今週の産経新聞WorldWatchに書いたので、お時間があればご一読願いたい。
続いては、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。
3月4日 月曜日
米韓軍、年次合同軍事訓練Freedom Shield 24を開始
豪・ASEAN首脳会合(6日まで)
3月5日 火曜日
米国でSuper Tuesday予備選
仏大統領、チェコ訪問
3月6日 水曜日
コロンビア全土で反政府抗議運動始まる
ロシア外相、ナイジェリア外相と会談
3月7日 木曜日
米大統領、the State of the Union演説
欧州中央銀行、金利を決定
3月8日 金曜日
トランプ氏、オルバン・ハンガリー首相と会談
アイルランド、男女平等に関する憲法改正の国民投票
3月10日 日曜日
ポルトガル、議会選挙
最後は、いつもの中東・パレスチナ情勢だ。
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