日産・ホンダ、EVで協業すべき理由
Japan In-depth / 2024年3月14日 17時0分
▲写真 歴史的なホンダF1カーがそろい踏みした、ホンダ本社前ギャラリー( 2015年2月10日 東京都港区)出典:Chris McGrath/Getty Images for Honda Motor Co.
プライドが高いホンダが果たしてこの話に乗るかどうかはわからない。しかし、どちらにもメリットがあることは明らかだ。日産もホンダも単独でトヨタに勝つことは不可能に近い。
トヨタの全方位政策(豊田章男会長はマルチパスウェイ、と呼んでいる)は盤石に見える。EV戦略ではテスラやBYDに比べて見劣りするものの、少なくとも現時点で最高益を叩きだしていることは事実であり、最近ではEVへの過度の期待がしぼんで、PHEVなどに強みを持つトヨタが見直されているのが現状だ。
トヨタ一人勝ちの状況下、日産とホンダが接近する理由は十分すぎるほどある。
しかも、両社にはかつて経営統合の噂もたったくらいだ。英FT(ファイナンシャルタイムズ)が2020年8月に、「日本政府関係者が昨年末に日産自動車とホンダの経営統合を模索していた」と報じたのは記憶に新しい。当時、仏政府が日産の経営権に介入する動きを見せたこともあり、日本政府内に警戒感からこうした案が浮上したとしてもおかしくはない。
かつて筆者が日産自動車にいたころ、VWの乗用車をライセンス生産したことがあるが。生産現場は苦労の連続だった。その割に得るものはほとんどなかったと技術部門はのちに述懐していた。ライセンス生産ですらそうなのだから、共同開発となるとさらに難易度は上がる。その後ルノー資本を受け入れた日産は、ルノーと車体の共通化などを進めたが、言葉の壁もあり、7割の目標は達成できなかった。外国企業との協業はことほどさように困難なのだ。
さて、GMから離れたホンダ。冷静に考えて、日産のEV技術はGMに先行している。そういう意味からも、ホンダにとってGMより日産と組んだ方がはるかにやりやすいし、メリットもあるだろう。車体まで共通化は無理かもしれないが、EV基幹部品やバッテリーの共同開発、共通化は間違いなくメリットがある。検討に値するのではないか。
自動車業界を巡る環境変化は日々刻々と変化している。今日のチャンピオンが明日、消えていてもおかしくないくらいだ。
いずれにしても、日産にしろ、ホンダにしろ、今のままではじり貧だ。このままでは、トヨタはもとより、テスラにもBYDにも勝てないだろう。思い切った経営戦略を取らなければ生き残れない。そんな曲がり角に今差し掛かっている。
トップ写真:日産自動車本社(2020年5月27日 神奈川県・横浜) 出典:Tomohiro Ohsumi/Getty Images
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