1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

トランプ大集会の体験報告

Japan In-depth / 2024年3月14日 23時0分

私はその行列に入って、その後の3時間ほどを過ごした。人の列はゆっくりと進む。会議センターへの入館の安全チェックに時間がかかるのだろう。だがこれだけの人数が並んでいても、警察は直接には交通整理にはほとんどあたっていない。トランプ陣営の係とみられる男性たちが、そこここの角に立って、前進の仕方を助言するだけで、群衆はゆっくりとした前進はすべて自主規制という感じだった。





この3時間ほどの間に周囲や前後の人たちとも言葉を交わし、観察を重ねた。まず礼儀正しい人が多かった。若者数人が背後から私の体にまちがって、少しでも触れると、すぐに丁寧に謝る。ごくたまに数人の反トランプと思われる男女が「ファシスト」などと書いたプラカードを掲げて歩いても、ウォーと抗議の声をあげるだけで、乱暴な反応がない。





トランプ氏になお挑戦するニッキー・ヘイリー元国連大使の陣営が同大使の大きな写真を掲げた自動車を走らせてきても、これまたトランプ支持者側は少人数が反対の叫びを発するだけで、相手の言動を阻むような様子はなかった。





ただしトランプ支持に集まった人はやはり白人が多かった。黒人やアジア系は1割にも満たなくみえた。だが何度も書くように、みなマナーがよく、静かだった。この日、会議センターへの入場のために早い人たちは午前7時ごろから集まり始めた、と聞いた。そしてみな長い時間を街路にじっと立ち、少しずつの牛歩のような前進を続けていたのだ。ごく普通の市民がこれほどの多人数、これほど熱心に、しかも秩序正しく、辛抱強く、待ち続けるという点に、私のそれまでのトランプ氏支持者の印象がかなり修正された、という実感だった。





要するにアメリカ社会のごく普通の男女が自分自身の意思でこれだけの多人数、集まって、トランプ氏への支持を表明している、ということなのだ。





トランプ氏自身は予定の午後6時少し過ぎに同センターの壇上に立った。センターは超満員だった。後から判明したのだが、満員になって、消防署からの規制で何千人という人たちが入場できないままになったという。会場の収容能力は約7千とされていた。





だが満場の観衆はトランプ氏の姿に熱狂的な支援の声をあげ、拍手を送った。トランプ氏は草稿を読むこともなく、プロンプターも使わず、数枚の資料用紙を持っただけで、演説を続けた。正確には1時間3分間だった。





この演説でトランプ氏は当然ながらバイデン大統領の施策の数々を批判した。アメリカを強く、豊かに復活させると約束し続けた。とくにバイデン政権の不法入国者の許容への非難は厳しかった。ロシアのウクライナ侵略、ハマスのイスラエル攻撃を生んだバイデン政権の抑止力の低下を糾弾した。活力と熱気にあふれる演説だった。





なおトランプ氏はこの大集会の直後の3月5日のバージニア州での共和党予備選ではヘイリー候補を大きく引き離して大勝した。この日、つまりスーパー・チューズデーの合計15州の予備選でうち14州を完全に制したトランプ氏は夏の共和党全国大会を待たず、指名が確実となった。





これからさまざまな形で報じられるトランプ氏の選挙活動と支持層の反応の一端を第一線で時間をかけて、観察した私の報告である。





動画:LIVE: President Trump in Richmond, VA





*この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに載った古森義久氏の寄稿論文の転載です。





トップ写真:「投票に行こう!」集会のステージに登場し、スピーチをするドナルド・トランプ氏(2024年3月2日 バージニア州リッチモンド)出典:Win McNamee/Getty Images




この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください