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もしトランプ政権になれば その5(最終回) 日米の報道のゆがみ

Japan In-depth / 2024年3月24日 11時0分

トランプ政権は中東でもイスラム過激派の残虐なテロ組織「イスラム国(IS)」を壊滅した。アラブ側のアラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンとイスラエルの国交を樹立するアブラハム合意をも成立させた。トランプ政権のそうした対外実績はアメリカの民主党寄りの大手メディアはまず報じない。





なにしろいまのアメリカ大統領選をめぐる動きの情報は熾烈な党派対決のメディアのスクリーンを通して流されるという基本をここで改めて日本側の私たちも認識しておくべきなのだ。その種の情報は民主・共和、バイデン・トランプどちらかに傾斜する色彩や光沢が加えられている場合がほとんどなのだ。





とくにニューヨーク・タイムズのような認知度の高い大手メディアが伝統的なアメリカの国政では異端のドナルド・トランプという人物をとにかくその登場の当初から抹殺しようとする意図でのキャンペーンを続けてきたという政治枠組みをよく知っておく必要がある。





この枠組みの存在をもっともわかりやすく表示するのはトランプ大統領に対してその就任の当初からぶつけられた「ロシア疑惑」だった。周知のように、この疑惑は2016年のアメリカの大統領選でトランプ陣営がロシア政府と共謀してアメリカ有権者の投票を不正に操ったとする糾弾だった。民主党側はこの疑惑を事実だとしてニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、CNNテレビなどが先頭に立ち、トランプ氏を攻撃した。





ところがこの「ロシア疑惑」は虚構だったことが判明した。連邦議会の下院本会議が2023年6月、公式の決議としてこの疑惑が虚偽の情報だったと宣言した。この議会の動きは日本の主要メディアではほとんど報じられなかった。構造的なゆがみだといえよう。





いまの、もしトランプ氏が大統領に再選されたらどうなるのか、という命題も、まずこの構造的なゆがみを認識し、その屈折を排したうえでの検証作業でなくてはならないのである。





(終わり。その1、その2、その3、その4。全5回) 





*この記事は雑誌の「月刊 正論」2024年4月号に載った古森義久氏の論文「トランプ氏に関する誤解・歪曲を正す」の一部を書き替えての転載です。





トップ写真:トランプ大統領がホワイトハウスにてアブラハム協定署名の会を主催。2020年9月15日(左からバーレーン外務大臣アブドゥル・ラティーフ・ラシード、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフ、アメリカ大統領ドナルド・トランプ、アラブ首長国連邦外務大臣アブドゥラ・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン)出典:Photo by Alex Wong/Getty Images




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