階層型ネットワークを用いた感染拡大シミュレーション
Japan In-depth / 2024年4月17日 23時41分
さらに、このシミュレーションでは③の観点から見ても、子供とビジネスマンなど日中に多様な文脈で生活を送る人たちが朝晩に接触する場所となる「家庭」が感染の火付け役となる影響を改めて指摘する結果となっています。過度な行動緩和は、ワクチン効果とハイブリッド免疫効果の低下による若干の感染者増を招く可能性 ( https://www.covid19-ai.jp/ja-jp/presentation/2023_rq1_analysis_and_simulation_for_infection_situation/articles/article499/)むしろステイ・ウィズ・コミュニティを守るだけの穏やかな緩和が公的であることも示すことができました。
以上の成果例は、当社が大澤グループに関わって生み出した成果のうちわずかな部分にすぎませんが、とても重要なメッセージを孕んでいます。
それは、昨今注目されているAI技術は未来の「予測」や(戦略の)「生成」を自動化するものだという先入観に囚われるのは大損の元だということです。上の①は、予測をしてほしいという内閣官房側の期待に応えるためのアウトプットでしたし、このように正しく予測する力を示すことは、腕っぷしを示し信頼を得るためにある程度は必要かも知れません。しかしながら、予測というものは僅かな事態の変化で大きく間違ってしまうものです。
特に、感染症拡大には非線形性があることから、この種の予測外れは覚悟すべきであり、間違いをシミュレーション技術のせいにするのは適切ではありません。それよりも、シミュレーションというのは実際の現象ではないおかげで、人間が好きなような設定した条件の下で結果を観測できるメリットが重要です。
上記の②③も、このシミュレーションのおかげで設定条件や前提条件を替え、結果としてどのような事態を招くかという仮想的な未来を把握できるようにした成果です。AIは、相当に複雑な因果関係や実験すると危険なシナリオについても、「条件」から「結果」に至る道筋を瞬時に計算して求めることができます。
「人にできない未来の説明者」として、今後もAIと人との伴走を読者の皆様にはご期待頂ければと思います。
トップ画像:コロナ禍で感染予防のためにマスクをつけ、出勤する人々 (イメージ)出典:d3sign/gettyimages
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