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米中関係はどこへ サタ―氏に聞く その2 米側の大規模な対中抑止策

Japan In-depth / 2024年5月31日 11時0分

 


 ――こんな現状ではアメリカ側では長期、中期の対中関係ではとにかくかかわりを減らす、やがてはディカップリング(切り離し)というところまでいくべきだという議論が出ていますね。 


 


「はい、ただし米側の多数派の意見としてはまだディカップリングというところまでは行かず、ディスエンゲージメント(不関与)という状態を求める傾向が強いですね。私自身も中国との全般的な関与を減らすべきだと思います。なぜなら中国側はこれまでのアメリカとの接触であまりに多くの一方的な利益を不当な手段で得てきたからです。その現状はすでにアメリカの国家安全保障を深刻に侵害しているのです」


 


 ――「不関与」というのが中国との全般的なかかわりをなくしてしまう意味ならば、その展望は重大ですね。米中両国の関係が切り離しに近いところまで、距離をおいてしまうわけですから。しかしアメリカ側はこの中国の脅威を根幹で抑え、自国を守るという積極的な措置も取っているようにみえますね。


 


「はい、その点はきわめて重要です。バイデン政権や議会は多様で大規模な中国抑止政策をとっています。


 


第一は中国が侵食しようとするアメリカ側の安全保障やインフラの力を強くする措置です。まずバイデン政権が推進して議会の同意を得て、成立させたインフラ建設強化法です。総額1兆2千億ドルで国家全体のインフラを強化する。この措置の多くの部分に中国との競合や兆戦に負けないという趣旨の施策が入っています。約6千億ドル総額のインフレ抑制法も中国対策としてのアメリカ経済強化策を多く含んでいます。だからこの2法だけでも2兆ドル近くの対中政策含みの対策なのです。


 


第二は中国の膨張を抑えるための直接の措置です。バイデン政権は中国の高度技術の発展を抑えるために米側の一定以上の半導体技術を中国に出すことを禁じる法律を成立させました。議会の下院は中国系動画投稿アプリTikTokのアメリカ国内での利用を禁止する法案を可決しています。中国政府の対米政治工作機関としての孔子学院を取り締まったことも同様です。


 


第三は中国の無法な膨張を抑える国際連帯を強めたことです。この点は非常に重要です。アメリカは同盟諸国、友好諸国の多くを最近、対中抑止、対中警戒という基本スタンスで団結させることに成功しています。中国の圧力に対抗できる弾力性を得て、中国に『力の立場』から対抗する諸国の数を増すことをアメリカは達成しています。この国際的な対中姿勢の変化はロシアによるウクライナ侵略の意外な影響が大きかったといえます」


 


(その3につづく。その1 )


 


*この記事は月刊雑誌WILLの2024年6月号掲載の古森義久氏の寄稿の転載です。


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