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トランプ氏の有罪評決が不信を生む7つの理由

Japan In-depth / 2024年6月9日 13時0分

結論を簡単にいえば、この裁判のあまりに露骨な政治性、そして党派性だといえよう。その主要な要素をまとめてみよう。





第一はこの裁判での起訴での無理な点が顕著であることだ。ニューヨーク州法では「口止め料」を払うことは違法ではない。その資金の流れを記載を曲げた文書改竄は微罪とされる。だがアルビン・ブラッグ検事の起訴状はその微罪の文書改竄によりトランプ氏が選挙不正という重罪を冒そうとした、とするだけで、その重罪の具体性や証拠を示していないのだ。





第二には裁判での起訴を進めたマンハッタン地区の地方検事ブラッグ氏が年来の民主党政治活動家であることだ。ブラッグ氏は検事就任前からトランプ氏糾弾の政治や訴訟の活動を何年も続け、いまの検事ポストへの選挙でも「トランプを必ず倒す」と公約していた。









▲写真 ニューヨーク市のシティ・ワイナリーで開催された40周年記念ハーレム・ステージ・ガラに出席するマンハッタン地区検事 アルヴィン・ブラッグ氏(左)と妻(隣)2024年6月3日 アメリカ・ニューヨーク 出典:John Lamparski/Getty Images





第三にこの裁判の裁判長を務めたフアン・マーチャン判事も年来の民主党支持者だと判明した。前回の2020年の大統領選ではマーチャン氏が民主党のバイデン陣営に少額とはいえ、3回にわたり政治献金をしていた記録が確認されたのだ。厳密にはこの政治志向だけでもこの裁判での判事の倫理基準に反するとされかねないのだが、そうはならなかった。





第四には、この起訴や評決の日程がトランプ氏の選挙活動への明白な妨害となっていることである。今回の評決の結果の罪状判決は7月11日となった。大統領選挙の指名を決める共和党全国大会の直前である。起訴もトランプ氏への出頭命令もすべて同氏の選挙活動の超多忙な時期を狙い打ちした日取りなのだ。他の時期での日取り設定はいくらでもできるのに、だった。





第五には、評決を決める陪審員が、圧倒的に民主党支持者ばかりのマンハッタン地区から選ばれたことである。実際の選定は任意だというが、そもそもこの地区での共和党支持者は超少数である。陪審員選抜にあたる裁判官がそもそも民主党支持であることも、結果として偏向となったといえる。





第六には、陪審員があっというまに34もの起訴罪状のすべてに対するトランプ氏の有罪を決めてしまったことである。評決を決めるにはまだ2週間以上の時間が与えられていた。それが40時間ほどで、結論を出したのだ。しかも34項目にわたる複雑な罪状での重罪が即時といえるほどのスピードで決められたのだ。





さらに最後の第七としては、この6月8日に報じられたニュースとして、陪審員のいとこと称する人物から有罪評決の結果がその実際の評決判明の前日にリークとなる発信があったことが判明した点だった。その発信人物はフェイスブックで評決前の5月29日に「評決はすべて有罪」という結果を親類の陪審員が聞いたとして、その情報を流した、というのだ。この発信の真偽については調査が始まったばかりだが、トランプ氏の弁護側はすでに評決全体の無効を主張している。





こうした諸点がアメリカ国民の広い層にこのトランプ氏糾弾の裁判への不信や疑惑を広げたといえるのだ。





トップ写真:マンハッタン刑事裁判所を出るトランプ氏(2024年5月30日アメリカ・ニューヨーク市)出典:Mark Peterson - Pool/Getty Images




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