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福島で熱中症が多いわけと対策

Japan In-depth / 2024年6月26日 11時0分

▲図2 緊急搬送における都道府県別の人口1万人あたりの熱中症患者数(作成:医療ガバナンス学会山下えりか)





この地域に熱中症が多いのは、フェーン現象の好発地域だからだ。東北地方には、夏場に太平洋から湿った風が吹きつける。このような風が北上高地、阿武隈高地、奥羽山脈などにぶつかり上昇する。その際、高度が上がるにつれ気圧は下がり、膨張して冷却される。この過程で、含有する水蒸気を雲や雨の形で失う。風が山を越えると、一気に下降する。その際、気圧が上昇し、乾燥した空気が圧縮され、一気に温度があがる。これが東北地方で、夏場に異常な高温が生じる理由だ。





特に気温が上昇しやすいのは、風下にあたる日本海側や中央の盆地だ。福島県の場合、中通りや会津が該当する。昨年の6~9月の間に最高気温が35度を超える猛暑日を記録した日数は、多い順に若松34日、福島33日、梁川32日、石川26日、喜多方25日、二本松18日、西会津12日と続く(図3)。地球温暖化に伴い、福島県の夏の暑さも加速度的に悪化している。昨年8月5日には、梁川で、福島県内で観測史上最高の40.0度を記録した。









▲図3 福島県2023年6月~9月もう諸費(35℃以上)の総日数(作成:医療ガバナンス学会山下えりか)





今夏は、昨年以上の猛暑になるかもしれない。それは2023年春から続いていたエルニーニョが収束したからだ。エルニーニョとは、太平洋赤道域の東側海面水温が異常に高くなる現象だ。収束すると、太平洋高気圧の張り出しが強まり、その縁を回って暖かく湿った空気が流れ込みやすくなるため、日本は猛暑となりがちだ。





エルニーニョは、これまで2〜7年ごとに発生している。前回の収束は2010年、18年だったが、その年はいずれも猛暑だった。2010年の夏は、昨年、記録が更新されるまで、観測史上もっとも暑い夏だった。





今夏、猛暑をどう乗り越えるか。夏場の屋外行事など、安全性の観点から見直す必要がある。相馬野馬追の対応は参考になる。





トップ写真:騎馬武者として参加した原田文植医師(相馬中央病院)筆者撮影




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