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イランで核兵器取得論争が活発化~イスラム体制の形骸化招く可能性も

Japan In-depth / 2024年6月29日 18時4分

現在までにイランが核兵器の取得能力があるのに保持していないとみられるのは、最高指導者ハメネイ師の宗教的な信条が大きく影響しているとの見方もある。ただ、政治関係者は核兵器の保持を禁じるファトワ(宗教令)も撤回可能との見解を示しており、核兵器保有に向けた条件づくりとも捉えられるような言動が続いている。





仮にイランが核兵器取得に動くとしたら、こうした核兵器に対する嫌悪は偽善的なものであり、政治的に利用していただけということになる。さらに、宗教的に大量破壊兵器の保持が禁じられているという言説まで持ち出していたことから、現在の宗教指導体制に対する信頼性がさらに揺らぐことになるだろう。





イランには敬虔で現在のイスラム体制を支持している人も相当する存在する一方、ヒジャブや飲酒の禁止など個人の選択の自由など私的な領域にまで介入するイスラム体制に嫌悪感を抱く国民も増えており、それは命懸けの反体制デモが起きていることからも明らかだ。筆者の友人のイラン人の中には、体制への失望感から海外移住を選択した人も少なくない。





宗教的に大量破壊兵器の保持を禁じられているとの理由は、イランが核兵器取得の素振りを見せながらも、実際には取得に動かないことの根強い根拠の一つとなってきた。イランが国民の意向に反してまで頑強にイスラム体制を維持する一方で、こうした宗教的な解釈や決定を捻じ曲げて核兵器取得に動くなら、国民の意思に反してまで特定の宗教観を押し付けることの理不尽さも改めてクローズアップされることになろう。





イスラエルや米国との対立など国際政治の厳しい現実はある。隣国イラクのフセイン体制が2003年の米軍侵攻により打倒されたという歴史も、体制維持に躍起になるイランが核兵器を取得しようという動機付けになっている。





だが、安全保障の確保を狙った核兵器取得も、イスラエルによる先制攻撃を招きかねないなど、返って体制崩壊を早める可能性もある。ハマスの攻撃を受け、従来の抑止力を失ってしまったと考えているイスラエルが、実際にイランの核関連施設を先制的に攻撃する可能性は従来にも増して高まっていると言える。





イランが核兵器保有国への道を歩もうとするなら、安全保障が揺らぎかねないことに加えて、宗教的な教えやファトワの信頼性はますます失われ、イラン宗教体制の形骸化が加速化することになるだろう。





トップ写真:大統領選の候補の一人 前最高安全保障委員会事務局長サイード・ジャリリ氏(2024年6月)出典:Majid Saeedi/Getty Images




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