世界で吹き荒れる「現職指導層への逆風」
Japan In-depth / 2024年7月10日 17時0分
ところが続いて「もし改革派が勝ったら?」と聞かれたので、幸い、「それはイラン民衆の政府に対する不満が爆発したということ、そちらの方が大変だと思う」と答えた記憶がある。でも、ハタミ大統領時代の最大の教訓は、「改革派大統領は改革ができない」ということ。今回もあまり期待してはいけないと思う。
話を欧州に戻そう。筆者に言わせれば、今回の各国選挙結果に共通するのは「現職指導層への逆風」である。フランスでは中道勢力の凋落が進み、極左と極右の両極化現象が深刻化している。英国では保守勢力が劣化し、大失敗した「EU離脱」強行により英国経済は停滞し、民衆の不満が爆発した。
この点は今の米国もイランも同様。イランでも経済格差や政治への不満が確実に広がっているからだ。最近の保守強硬派による「イスラム第一主義」政治がイランの国際的孤立と経済制裁を招き、国民生活は困窮している。これもイスラム極右勢力の失政の結果だろう。
要するに、これらの選挙結果は決して各国特有の現象ではなく、恐らくは、世界共通の潮流ではないかと思う。されば、今の日本の保守政治は大丈夫なのか・・・。この点については今週の産経新聞WorldWatchに詳しく書いたので是非ともご一読願いたい。
続いては、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。
7月9日 火曜日 インド首相訪露、露印首脳会議(2日間)
ブラジル大統領、ボリビア訪問
7月11日 木曜日 ワシントンでNATO首脳会議閉幕
韓国中央銀行が金利決定
7月12日 金曜日 日本首相訪独、日独首脳会談
7月15日 月曜日 シリアで議会選挙
ルワンダで総選挙
最後にいつもの定番のガザ・中東情勢だが、今週も表面的にはあまり大きな動きがない。一方、水面下ではハマースとイスラエルが停戦交渉を進めているようだが、もしこれが進展するとしたら、逆に筆者はちょっと嫌な感じがする。
それは、近い将来、イスラエルが南レバノンのヒズブッラと本格戦争に入るか、もしくは、西岸地域で新たなパレスチナ人による大騒動が起こる可能性が高まっているのか、恐らくそうしたことを暗示しているかもしれないと思うからだ。一難去ってまた一難か、実に怖い話である。
今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:イランのペゼシュキアン大統領(2024年7月6日イラン・テヘラン)出典:Majid Saeedi/Getty Images
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