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安倍晋三氏の国際的実績とは(下)アメリカはなぜ彼を賞賛したのか

Japan In-depth / 2024年7月11日 21時0分

 安倍首相の2015年4月のアメリカ議会上下両院合同会議での主要演説も米側一般の信頼を高めるうえで大きな効果があった。当時のオバマ政権も、民主党リベラル派議員たちも、こぞって賞賛の声を述べた。安倍氏が日米戦争へのことさらの謝罪はせず、両国にとっての悲劇として反省や追悼の意を述べるという姿勢が米側にも好感を生んだといえる。


 《トランプ政権下の日米緊密時代》


 2017年1月に登場したドナルド・トランプ氏は安倍氏を政権の冒頭から信頼し、敬意を表した。安倍氏の主唱した「インド太平洋構想」での中国抑止という新政策に同調した。その背景にはこの時期のアメリカには超党派の安倍晋三支持という基盤が築かれていたのだ。


 安倍氏が唱えた「積極的平和主義」の防衛政策も米側からは日米同盟増強への大きな前進として歓迎された。それまでの「日本の平和主義」というのは単に無抵抗主義という要素ばかりであり、日米同盟には障害となる認識が米側では強かったのだ。


 かつての慰安婦問題などでの激しい糾弾から超党派の安全保障政策などでの賞賛へ——安倍氏がアメリカの態度を逆転させた歴史の大ドラマ的な変遷は本人の資質、努力、表現力などの賜物として日本の外交の軌跡でも特筆されるべき出来事だった。


 《安倍氏の死を悼むアメリカ》


  2022年7月8日の安倍氏の暗殺はアメリカでは日本以上に悼まれたといっても過言ではない。大統領命令により、すべての政府施設、すべての海上に浮かぶ艦艇を含めての軍事施設に安倍首相の死を追悼する星条旗の半旗が掲げられたのだ。


 大統領、議会両院が公式の丁重な弔意文を発表した。民間でも各界からの弔意が表明された。日本のように暗殺者の動機に光を当てるという反応は皆無であり、だれもがこの政治暴力を非難していたのだ。同時にアメリカ側全般からの安倍晋三氏の日米関係への寄与、さらには国際的な業績への賞賛が表明されたのである。


《安倍氏の歴史的な業績》


 アメリカという超大国、そして日本の安全保障に欠かせない同盟相手、民主主義や人権尊重という普遍的価値を共有する相手国、さらには戦後の日本の国の特殊な枠組を作った、かつての占領国との関係を


 これほど緊密にし、なおかつその信頼をも深めた安倍氏の実績はまさに日本国にとって、また日本国民にとっては歴史的貢献といえるだろう。その実績をいまの私たちがどう活かしていくのか、喫緊の課題であろう。


(終わり。上はこちら)


トップ写真:トランプ元大統領が来日し、安倍元首相とゴルフをした時の様子(千葉県茂原カントリー倶楽部、2019年5月26日)


出典:Photo by Kimimasa Mayama - Pool/Getty Images


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