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ボストン・ウェルネス通信 その12 GLP-1受容体作動薬、長期的な成功の鍵

Japan In-depth / 2024年9月3日 14時30分

ボストン・ウェルネス通信 その12 GLP-1受容体作動薬、長期的な成功の鍵


20240824米国ボストン在住内科医師


大西睦子


【まとめ】


・イーライリリー社は、臨床試験の結果「チルゼパチドが糖尿病リスクを最大94%低下」という驚異的なデータを公表。


・GLP-1受容体作動薬を定期的な運動やバランスの取れた食事などと組み合わせることで、効果が高まる。


・GLP-1受容体作動薬は、高齢者の生活の質も向上させるが、定期的な運動やバランスの取れた食事などを組み合わせる必要がある。


 先日30代前半男性Bさんに、GLP-1受容体作動薬についてのカウンセリングを行いました。


 Bさんは、もともと体育会系男子。以前は野球、アクションスポーツなどさまざまな運動をしていましたが、現在はゴルフとウォーキングを少々。責任感が強く、物事やると決めたら最後までやり遂げる性質です。


 ただし社会人なり20代前半頃から生活が一変。Bさんは「毎日5時に起床し終電を利用していました。そのため好きな運動ができず、食べ過ぎ、飲酒量が増えて体重が増えました。睡眠時無呼吸症候群が悪化して、日中眠くて、ストレスがたまりました」といいます。


 そんな状況で、主治医から、1ヶ月前にGLP-1受容体作動薬の処方を受けたそうです。すると「1ヶ月後には過食が減り、体重が3〜4キロ減りました。さらに飲酒が1日平均ビール3杯からビール1杯(あるいは、ワイン1.5本がワイン0.5本、ウィスキー6杯がウィスキー2杯)に減りました。最近は睡眠の質が高まり、体調が改善しています」とのこと。仕事の調子も良さそうです。


 そんなBさん、GLP-1受容体作動薬がよく効いているようですが、長期的にはどうなるのでしょう?


● 結局のところ、体重管理は長期的な取り組み


 先日、イーライリリー社は、3 年間にわたる SURMOUNT 1 臨床試験の結果「チルゼパチドが糖尿病リスクを最大94%低下」という驚異的なデータを公表しました。またこの研究では、「チルゼパタイドが 3 年間にわたり減量を維持するのに効果的」であることが示されました(1)。


 *イーライリリー社のGLP-1受容体作動薬:2型糖尿病治療薬で減量効果のあるチルゼパチド(商品名マンジャロ)、減量のための高用量のチルゼパチド(商品名ゼップバウンド)。ちなみにノボ ノルディスク社のGLP-1受容体作動薬は、肥満治療薬セマグルチド(商品名ウゴービ)、2型糖尿病治療薬で減量効果のあるセマグルチド(商品名オゼンピック:ウゴービよりもセマグルチドの用量が少ない)。


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