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米大統領選、ハリス優勢とまではいえない

Japan In-depth / 2024年9月17日 23時0分

尤も日本人の米国専門家だって、米国の大統領選挙を、米国の政治のプロと同じ感覚でフォローできている向きは意外に少ない。これが実態ではないだろうか。All politics is localは古今東西共通の課題なのである。





いずれにせよ、ワシントンのアジア、特に日本の専門家が質量ともに見劣りする状況は、過去数十年間、基本的に変わっていない。この点については今週の産経新聞World Watchに小論を書いてみたので、お時間があれば、ご一読願いたい。





大統領選挙もあと50日を切り、米国メディアの多くはハリス優勢を期待し、かつ予測し始めているようだが、実は誰も正確に予測出来ないと思う。そもそも、世論調査でのハリス候補の「数パーセントのリード」など、世論調査の「誤差の範囲内」でしかないのだから・・・。





筋金入りの民主党系旧友ですら、「今回トランプが勝っても全くおかしくない」「大都市圏の外側の米国人のトランプ支持は今も根強い」と分析していた。筆者は米リベラル系メディアの楽観論よりも、旧友の直感を信じる。要するに、米大統領選は自民党総裁選以上に予測が難しい、ということだ。





続いては、欧米から見た今週の世界の動きを見ていこう。ここでは海外の各種ニュースレターが取り上げる外交内政イベントの中から興味深いものを筆者が勝手に選んでご紹介している。欧米の外交専門家たちの今週の関心イベントは次の通りだ。





9月17日 火曜日 カタル首長、カナダ訪問(2日間)





ハンガリーの亡命違法制限に関する裁判所の2.2億ドルの罰金支払い命令期限





9月18日 水曜日 ジャンムー・カシミール州 (インドとパキスタンの元係争地で、以前はインド最北部に存在した州)で議会選挙





9月19日 木曜日 イタリアでG7文化大臣会合開催





9月20日 金曜日 チェコ、上院議員選挙(2日間)





9月21日 土曜日 スリランカ、大統領選挙実施





米大統領、QUAD首脳会議をデラウェアで主催





9月22日 日曜日 スイスで国民投票





ドイツ・ブランデンブルグ州で州議会選挙





最後はいつものガザ・中東情勢だが、先週は軍事的に大きな事件が報じられた。イスラエル軍幹部がガザ最南部のファを拠点とするハマース4個大隊を「すべて壊滅させた」と述べたのだそうだ。ラファ市街地も完全掌握し、昨年10月から続く対ハマース軍事作戦は「一つの節目」を迎えたとも報じられた。





なるほど、こうなれば、従来なら「停戦」に向けた動きが活発化するはずであるが、実際にはそうならない。ネタニヤフが譲歩しないからだ。先週は「ネタニヤフは11月5日まで政策変更する気などさらさらない」と書いたが、そうした強硬姿勢が軍事的な理由ではなく、政治的理由によることが、今回事実上明らかになったということだ。





米国は新たな「停戦案」を模索中とも報じられたが、問題はラファ周辺のいわゆる「フィラデルファイ」回廊へのイスラエル軍駐留の是非だ。米側がイスラエル軍の駐留を認めれば、ハマースが反発し、認めなければ今度はイスラエルが反発する。うーん、昔も似たような交渉を延々とやっていた覚えがある。歴史は繰り返すのか?





今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きは今週のキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。





トップ写真:ラスベガスの選挙集会で、カマラ・ハリス副大統領のビデオを視聴するトランプ候補(2024年9月13日ネバダ州ラスベガス)出典:Justin Sullivan/Getty Images




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