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【自民党総裁選挙】2 加藤勝信氏「政策分析」と「人事評価」

Japan In-depth / 2024年9月22日 23時0分

【自民党総裁選挙】2 加藤勝信氏「政策分析」と「人事評価」


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)


【まとめ】


・加藤候補の政策の特徴、「給食費」「子ども医療費」、「出産費」の負担をなくす「3つのゼロ」。


・「協創」という理念を打ち出し、シニアの活躍機会創出を明言。


・課題は「国民の所得倍増を目指す」というが十分な内容とはいえない点。


 


一、国民一人ひとりの声に真摯に向き合う


一、多様性を尊重し、協力し合い安心できる社会を築く


一、一人ひとりの自由と挑戦を尊重する仕組みを創る


一、古い慣習を打破し、公平な社会を実現する


一、世界から知識と技術を取り入れ、強い日本を築く


これが加藤勝信さんの五つの誓いである。「たわしヘア」とか揶揄され、目立たない、地味な面もあるが、安定さと実務能力には相当の定評がある。「協創」という理念の旗を打ち立て、今回の総裁選に打って出た。


◆ 加藤勝信氏とは


1955年11月22日、東京都生まれ。血液型B型。旧姓は室崎。祖父の室崎勝造さんは島根県議会議長で室崎商店社長、父親の室崎勝聰は日野自動車工業取締役副社長。そして、伴侶の父は加藤六月衆議院議員・農林水産大臣である。


東京学芸大学附属小金井中学校を卒業。系列の東京学芸大附属高校には進学できず、それを「挫折」とも語る。東京都立大泉高等学校に進学し卒業。その後、東京大学経済学部を卒業した。大蔵省に入省。倉吉税務署署長、大蔵省主計局主査などキャリアを積み重ねた。加藤六月農林水産大臣の秘書官も務め、その加藤六月さんの次女と結婚。


1998年に参議院議員選挙で落選、2000年に衆議院議員選挙で落選。浪人生活も長かった。沖縄基地負担軽減担当大臣、拉致問題担当大臣、厚生労働大臣、働き方改革担当大臣、一億総活躍担当大臣、女性活躍担当大臣、再チャレンジ担当大臣、内閣府特命担当大臣、内閣官房副長官、内閣官房長官などの要職を歴任している。スイーツ好き。座右の銘は「一点素心」。


 


◆ 加藤氏の政策の特徴


 まず取り組むべきは賃上げ・所得の倍増だという。最低賃金1500円目標の前倒し達成、2000円を目指した支援強化、国内消費の拡大・企業の収益力の向上を図るとともにDX・GX 等を推進する国内の設備投資等の促進、生産性の向上を図ってさらなる経済成長の好循環を実現などが必要だそう。


持続的な林業経営の確立と国産材CLTの活用促進など木材産業の競争力強化、土地改良の推進とスマート農業導入支援といった点は地元岡山からの発想が感じられる政策も並ぶ。


特徴は第一に、厚労省での経験が強く反映されていることだ。長らく子供の貧困について活動してきた。「給食費」「子ども医療費」、「出産費」の負担をなくす「3つのゼロ」を打ち出し、リスキリング、DX、AI活用といった独自色をプラスしている。


「医療費・出産費負担ゼロの実現へ」


・給食費、こども医療費、出産費の負担をなくす「三つのゼロ」を目指す」


男女賃金格差の是正
・企業役員・官庁幹部・議員の女性比率向上


・人材への投資と、労働生産性向上投資の促進


・弾力的な働き方の推進働きやすさ


【出典】加藤さんHP


第二に、「協創」という理念を打ち出していること。「さまざまな立場で暮らす国民全員で力を合わせてこの社会を創り、生産性を高め、よくしていくんだという思い」だそうだ。目的は、「おのおのの役割を果たし、安心して暮らしていける(JBプレス、インタビュー記事)こと。地域の立て直しには、大学も企業も医療もすべての機能が必要であるとその条件をあげる。また、「給食費、こども医療費、出産費の負担をなくす「三つのゼロ」や、人生100年時代を見据えた社会保障改革と、地域経済の再生、生産性の向上による所得倍増は、すべてが地続きの政策」(JBプレス、インタビュー記事)と言うように、理念のもとにすべてが論理的につながっていて一貫している点は注目に値する。理念とその具体策ととてもわかりやすい。


第三に、注目に値する政策が多い。シニアの活躍機会創出を明言しているのは今回の候補者で石破さん以外に加藤さんくらい。その他にも「ここに目を向けているのか」という政策が多い。


・専門的支援も含めたメンタルヘルスの充実
・低年金者の年金水準改善


・カスタマーハラスメントの対策強化など、働きやすい環境の整備


【出典】加藤さんHP


 「自民党の政策通」と言われるだけある。


課題は、「国民の所得倍増を目指す」というものの、十分な内容とはいえない。主計局にいた官僚なら「どのように」が企画できるはず。よほどの方策が必要だ。池田勇人内閣は、実質国民総生産を10年以内に2倍にすることを目標としていたし、岸田政権では「資産所得倍増」であった。それらとの違いは何なのか、明確にしてもらいたい。「DX含めて情報化投資を行い、経済を合理的に回すための技術の振興と政策の両輪を築き上げる」といっても、消費税増税を辞さない姿勢ではそんな簡単に実現できないわけで、「どのように」所得倍増を進めていけるか、を明らかにしていくことが必要だろう。安倍政権を支えた功労者の1人ではあるが、「アベノミクス伝承者」というのだから、その成果検証はしてもらいたいものだ。


◆ 人事評価


 筆者は人事評価の専門家として「政治家の人事評価」などを提起してきた。ここで、「首相の人事評価」を考えたい。総理大臣の「能力」「成果が出せる行動特性(コンピテンシー)」は以下になる。


◆1.未来の方向性を示せる、共有できる


◆2.組織マネジメントができる


◆3.決断・意思決定ができる


これをしっかりできれば十分なのだが、加藤さんをこの視点を細かく見ると以下のようになる。


筆者作成)


「安倍内閣の官邸主導の政治を支えた」と言われるほどの官僚のコントロール。それは、相手の事情を勘案する、察知する、目配りするなどの有能さゆえであろう。優秀さが目立つ一方、官房長官として「ごはん論法」として批判される面もある。


「命をかけて」というほどの覚悟を持つ加藤さんに期待したい。


トップ写真:加藤勝信氏


出典:加藤勝信HP


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