なにを今さらキングメーカー(下)本当に「政治の季節」なのか その2
Japan In-depth / 2024年9月28日 10時31分
結論から言うなら、安倍派の復権に他ならない。
彼女自身が、かねてから安倍元首相の「正統な後継者」だと標榜しており、保守系の論客と呼ばれる人たちやメディアもその点を高く評価している。
今年初めに、政治資金パーティーにからんだ裏金問題で、安倍派をはじめ自民党の派閥は相次いで解消する羽目になったが、人脈は今も残り、隠然たる勢力を保っていることは、もはや周知の事実と言ってよい。
高市候補自身は、かつて町村派に属していたが、現在は無派閥である。とは言え、そもそも町村派とは、1979年に、元首相に福田赳夫を中心に旗揚げされた「清和会」が源流で、安倍元首相も親子二代(安倍晋太郎・晋三)で会長を務めた。
2022年7月、安倍晋三元首相は凶弾に斃れたわけだが、その後、議員総会で「安倍派」の名称を継続して使用することが確認されたのだが、前述のように今年1月、解散の沙汰となった。
その安倍派に属していた議員たちが、高市候補を強く推していることは、推薦人の一覧を見れば一目瞭然である。上川候補の推薦人の中に、元SPEEDの今井絵理子・参議院議員の名前があったことから、ネットの一部では非難がましい声も上がっていたが、高市候補の推薦人の中には「差別発言の女王」みたいな人の名前がある。
若い有権者の中に、高市候補について総理総裁に「ふさわしくない」と考える人が意外に多いということだが、それは彼女の政治姿勢より、こうしたバックグラウンドのせいではないかと、私は考える。
仮に、保守派と言うよりは旧安倍派の思惑通り、高市候補が総理総裁となった場合、裏金問題や、旧統一教会とズブズブの関係にあったことなどは、なし崩し的に不問に付されてしまうのではないだろうか。
もうひとつ、高市候補を推す声の中で私が個人的に聞き捨てならないと感じたのは、現在は政界を引退している亀井静香氏が、次期総裁は高市さんか上川さんがよいとして、
「女性が総理総裁になれば、自民党の支持率はたちまち回復する」
などと述べたことだ。
この人は3年前の総裁選に際しても高市候補を推していたので、単なる思いつきの発言とも考えにくいが、要するに「選挙の顔」にうってつけだ、と言いたいだけではないか。
亀井氏自身、かつては自民党内で派閥の領袖だったかだが、まさか今でもキングメーカーに憧れているわけでもあるまい。
本連載で以前に取り上げたことがあるが、英国では、16歳で妊娠し高校を中退した女の子が、18年後、労働党政権の誕生にともなって副首相の座にまで上り詰めた。
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